ドバイへ来た目的は、2年間のダッカ勤務をがんばり抜いた妻(および彼女を支えたことになっているわたし)へのご褒美旅行。
目的地は空港から1時間ほどの距離にあり、地図で見ると砂漠のど真ん中。そんなところでどうやって過ごすのか、砂地のうえでキャンプでもするのかという場所であり、エミレーツの送迎サービスの運転手さんは初めての行き先だという。
とにかく向かいましょうといってナビに行き先を入れて走り出す。
これBMWのステーションワゴン(後ろが荷室になってるやつ)なんだけど、さすがに大型スーツケース4個は積めないだろうと思っていたら、ぴったり納まってすげえとおもたよ高級車舐めちゃいかんなあ。
ハイウエイを快調に飛ばし、内陸部へ入っていく。
基本は平べったい砂漠だが、こういう台地がひょいと現れたりするから油断ならない。
ところでわたしは雲突くような高層ビルが林立し、人工海浜や高級ショッピングモールで人を呼ぶ観光地としてのドバイにはまったく興味がない。
この地域には、石油マネーをどかすか投入してきらびやかな都市をつくりあげるはるか以前から存在した普通のひとの暮らしがあるはずで、その意味でのリアルなドバイというものをを見てみたいものだと思っていた。
その願いが期せずして叶えられることになる。
運転手が道に迷って、とんでもない田舎道へ入っていったからだ。
めざすリゾートは道がわかりにくいという評判があり、ナビによっては到達できないルートを表示するというが、今回もそれだったようで、BMWは中途半端なところでハイウエイを降り、何もない村道をうろうろし始めた。
土埃がもうもうと上がり、黒塗りの車体に降り積もっていく。
この運転手さん、帰ってからの洗車が大変だわなどと思いながら窓外を見ていると、なんの畑だか知らないが、農地が見えてきた。
農業があり、人の住む土地であることは確かなようだ。
フェンスの向こうに何千本かのナツメヤシの樹を擁した農園もあった。
素朴ながら地に足のついた経済活動が営まれているようで、本当のドバイをちょっと見た気がした。
ただ、午後遅く気だるいこの時間に人の姿を見ることはなかった。
結局運転手さんは正しいルートを見つけ出すことができず、通りかかった地元のドライバーから教えてもらってようやく放浪に終止符を打つことができた。
疲れた体で30分以上のロスになってしまったが、わたしたちは終始ご機嫌だった。このイレギュラーで短い旅が思わぬ大収穫になったから。
おおもとは遊牧民だったのに違いない人たちの一部が、いつの頃からか定住し、作物を育てる暮らしを始めた。
石油がこの地域の様相を一変させても、変わらないものは変わらなかった。
おじいちゃんがゆったりと腰掛け、その周りを孫たちが駆けまわる木陰・・・
これこそがわたしが独断と偏見により認定するほんとのドバイなのであった。
さて、正しいルートに復帰して進むうち、周囲から人工物が消え去り、砂漠だけになった。
うわこれマジだわ。
そう興奮していたら、ゆく手にこんもりとした緑が見えてきた。
これこそが目指す砂漠リゾート。
それはとんでもなくいいところだった。
詳しくはあらためて。
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