Pennyと地球あっちこっち

日米カップルの国際転勤生活 ~ ただいまラオス

土壇場のバングラデシュ点景

出発が10日後にせまり、準備に慌ただしくしながらも、ダッカでの暮らしの風景のあれこれに思いを馳せている。

うちはたった2年の予定のところ、さらに縮まって1年3ヶ月の「滞在」にすぎなかったし、国内旅行が禁止されていたせいで、この国の何を見聞きしたというほどの体験はない。

私が見たのは小さな針穴からのぞいた景色にすぎず、そんなものでバングラデシュを語ろうなどと大それたことは考えていない。

以下、ここ数日のあいだに撮れた写真をもとに、わたしの印象の断片を振り返ってみる。

 

とりあえず今はコロナだ。

街ゆくひとびとは誰もがマスクをしているといっていいが、例外はいくらでもある。

富裕層・外国人に人気のベーカリー&カフェ。

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従業員は、接客中こそマスクをしているものの、すぐにこうなってしまう。

パン2個の値段がうちの運転手さんの日給という高級店でもこれだから、まあ覚悟して食えということだ。

 

わが家が面した道路では、蚊の駆除剤の散布が多い日には3回もおこなわれる。

エンジン式の噴霧器で臭いのきついクスリがぶんぶんと撒かれ、室内にもけっこう入ってくるから、そのたび大急ぎで5台の空気清浄機をMAXにする。

外国人と富裕層が多く住む街だから駆除が盛んにおこなわれているのだろうが、効果はどれほどあるのか・・・

といぶかるのは、ボウフラが育ちやすい水たまりが無数にあるから。

うちの隣で建設中のマンションも、強い雨が降ると床がプールになり、ようやく少しは干上がってきたかなと思うころに次の雨が来る。

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このほか道路の側溝がしょっちゅう詰まっては水が溢れ、そのあたりが池になっている。街ぜんたいが蚊の培養器みたいな環境といっていいだろう。

何度も書いてきたことだが、マラリアやデング熱の危険に囲まれたダッカでの暮らしは、わたしのように短期の者にとっては「なんとか逃げ切る」で済む話だが、長期で駐在している皆さん、縁あってこの地に永住した皆さんのご苦労は計り知れない。

 

ちょっと楽しい話。

例によって富裕層・外国人御用達のスーパーに立ち寄り、コーラを買ってきた。妻の片頭痛にカフェインが効くので、たびたび飲んでいる。

今回おかしかったのは、缶入りの倍量入っているペットボトルのほうが安いこと。

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その差はたった5タカ(6円)ながら、大きなほうが安いのには何が理由があるにちがいない・・・と成分や生産国などを細かくチェックしても容器以外はまったく同じ商品としか見えなかった。

どうしても気になるものだから店員をつかまえて尋ねてみたところ、「はぁ?なにいってんのお前」みたいな顔をするばかりで、要するに無視されてしまった。

そのひとの個性にもよるだろうが、他の経験を総合して考えるに、「ごちゃごちゃ言わずに安いほう買っとけばいいじゃん」という感覚がバングラデシュでは一般的なのかもしれない。

よって店員さんは質問を無視したというよりは、意味がわからず絶句するしかなかったのかもしれない。

ジャパニーズはムダに細かいのである。

 

同じ日に買った商品にイタイ目に遭わされた。

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豆乳を紅茶に注ぐため開封したところ、プラスチック製の注ぎ口が破れて中身が飛び出した。

店での取り扱いが荒くて破損した商品をよく見かけるから慎重に選ばなければならいのに、今回はうっかりハズレを引いてしまった。

だが問題はそこじゃない。

近くに置いてあった母の着物に豆乳がかかり、染みになってしまった。

ドライクリーニングする時間はなく、引越し荷物に入れるしかなくなった。

 

被害を受けなかったほうの着物は、妻のドレスに化ける予定である。

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人件費の安いバングラデシュでやっておきたかったことのひとつ。

採寸してデザインという時間はなく、既存のワンピースを預けてなぞってもらうことになった。

テイラーさんの労賃は3000タカ(3600円)で、日本ではバカ安だが当地ではそこそこ高く、外国人値段といえるだろう。

ガイジンどもの務めとしてバングラデシュ経済にはなるべく参加すべきであり、出不精のわたしたちは貢献度が低かったが、最後の滑り込みで多少はお金を使うことができた。

ワンピースのほか、羽織の袖を改造してカーディガン風にするもの、帯からつくるテーブルランナー2本の合わせて4点。

ライナーの布地を入れて合計4500タカ(5400円)となった。

作業日は3日ほどしかなく、引越しの荷物出しの日の朝に届くことになっている。

どういうことになるのか、ちょっとドキドキしている。

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