断捨離は日本でも着々と進めていて、去年秋の一時帰国では、実家に預けてあった衣服をたくさん処分した。
段ボール箱に詰め、途上国の援助団体に送ったのだが、そこに含められなかったものもある。
それは一着の皮ジャンパー。
以前わたしがライダーだったころに着ていたもので、85年頃、KADOYA というライダー用品では名の知れたメーカーから買った。
分厚い皮に内張りがついて、地獄のような寒風のなかを走ってもぬくぬくしていられる優れモノだった。
結婚してバイクから離れ、街歩きにはゴツすぎるデザインだったため着なくなり、さりとて容易に捨てられるものでもなかった。
あの皮ジャンを寄付にまわさなかった理由をはっきりとは覚えていない。途上国は温暖な地域が多いから「こんなもん送っても」と思ったのか。あるいは支援団体が皮製品お断りだったのか・・・
離日直前の気ぜわしい作業中、皮ジャンは段ボールにおさまることなく、廃棄と決められてしまった。
この展開に皮ジャン君は驚いただろうが、そのあと別の驚きが待っていた。
ゴミ出しを託された身内のものが「もったいないジャン」と思ったらしく、近所のおじさんに「どう?着る?」といって見せたという。
おじさんは皮ジャンのデザインを気に入ってはくれたが、サイズが合わなくて断念。だがこれは捨てるには忍びないという話になり、革ジャンはリサイクルショップに持ち込まれた。
そのことを知ったのは、今回実家へ行き「はい、皮ジャン代」といってお金を渡されたときだった。
2700円って、なにこれ?
という質問の答えが上記のストーリーだった。
近所のおじさんは、自分でクルマを運転してリサイクルショップへ行き、革ジャンを売ってきてくれたのだった。
別のお金もわたしを待っていた。
てかこの千円札・・・?!
漱石先生バージョンのお札は、革ジャンのポケットから出てきたという。首都高の料金として入れといたやつか。
しめしめラッキーとかいってもらっておけばよいものを、こうして届けてくれたおじさんに感謝。
金額じゃなく、そいうお気持ちに触れたことが嬉しい。
師走の寒天のもと、あのライダージャケットは誰かのからだを温めているのだろうか。
生き延びてくれてよかったという思いと同時に、やっぱりもったいないことしたかなという後悔チラリ。
度量がちっちゃいねえ。
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