これはエライことになったかもしれん。
そう思いながら歯医者に向かったのは、1年半前に入れたインプラントがぐらつき始めたから。
あの二千何百ドルもしたやつが、もうお釈迦?!保証は半年前に切れてるはずだが、今後いったいいくらかかるんや・・・
という黒々とした不安を胸いっぱいに歯医者のドアを開けた。
「おやまあ、元気してた?!」と変わらず気さくなパテル先生。
ここにちょっと宣伝ぶっこんでおくが、ワシントンDCの Light Family Dental という歯医者、日本語は通じないがオススメだ。
その理由は、パテル先生の丁寧な仕事ぶりと、余計な治療を売りつけない誠実な姿勢。
VIPルームのような豪華なクリニックもけっこうだが、そういう贅沢趣味の費用を誰が負担しているのかについて、わたしたちは常に考える必要がある。
というわけでパテル先生のクリニックはいたって庶民的な佇まいながら、中身はちゃんとしているとわたしたちは思っている。
それにしてもコロナ禍のなかでの診療はたいへんだろう。
消毒し密封された治療用具ワンセットを患者ごとにあてがうのが普通の時代だが、コロナのせいだろう「ほらね、大丈夫だよ?」とばかりに患者の目の前でわざわざ開封してみせているように思われた。
先生も助手さんも自分を守るだけでもタイヘンなところ、なんか申し訳なくなっちゃって「おれ、マスクしたまんまにしときます?」とか言いそうになっちゃった。
さて、パテル先生が入れてくれたインプラントがぐらぐらし始めた問題、レントゲンを撮るなり原因判明。
ネジがゆるんでいたのだ。
知らない方のためにひとこと説明すると、インプラントってのは歯を支える骨が歯周病などによって溶けて歯を支えられなくなったとき、まず骨が成長する措置をほどこし、そのあとネジを打ち込み(このネジのことをインプラントと呼ぶ)、インプラントが骨にしっかり定着してから歯を取りつけるもの。
で、しっかり定着したはずのものがぐらついてるってことは、ぶっ壊れてしまったのかと思っていたわけですよ。
ところがパテル先生、こともなげにこうおっしゃった。
「あ、ゆるんでるね。よくあるんですよこれ。ギューッと締めればオッケー」
最近わが頭脳もずいぶんゆるんできたと思っていたが、そればっかりではなかったことを知ってひと安心。
それにしてもネジがゆるむとは、いかなる仕組みか。
ネジあたまには歯がついており、となりの歯とくっついているから、歯ごと回転するというのはありえない。
そのあたりについてパテル先生が早口で説明してくれたが、このひと早口だし、専門用語がふたつも入ったらゼンゼンワカンネーなわたしにはどうも・・・
ともあれ、歯の中央部を少し削ってネジ頭を露出させ、用具を当てて回してきたとき、骨のなかで ギュギュッ と鳴るのが聞こえ、しっかり入ったと感じた。
歯の穴を接着剤で満たし、紫外線を当てて固めたところで終了。
痛くもなんともなくて助かったよ。
以下はインプラントをしている人、考えている人への重要なお知らせ。
インプラントのゆるみはそれほど珍しくないという。たとえば骨の溶解がふたたび始まってネジとの接合部がもろくなると、だんだんぐらつき始める。
そうならないよう歯科医は日ごろのメンテナンスの大切さを強調し、何度かの事後検診をセットにしているわけだが、わたしの場合、パテル先生にインプラントしてもらった2週間後にダッカへ発ったため、これまでちゃんと診てもらうことができなかった。
歯磨き、一所懸命やってますよ。強い水流で歯間と歯茎の内側を掃除するウォーターピックとソニッケアの併用でがんばってます。
ところが今回わかったのは、インプラントについては、ウォーターピックを歯の根元をぐるりと一周させ、インプラントの根元をしっかり掃除すべしな件。
わたしの場合、そこが少し足りなかったもよう。
もちろん今日からしっかりやりまっせ。
今回、もしもインプラントがアカンようになっていたら、費用もさることながら、やり直しにまた何か月もかかることが大問題だった。
そこを切り抜けられた喜びと同時に、高度な治療にはそれなりの難しさがついてまわるものというイマシメを感じたのであります。
みなさん、歯はお大事に。
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