サウスカロライナの野良犬だったペニーがわたしたちのところへ来たのは、ワシントンDCエリアで活動するレスキュー団体を通じてだった。
この団体にボランティアとして協力して以来、ダッカへ去ったあとも一斉メールやSNSを通じたつながりがあり、ペニーと出会うことができた。
ちなみにこの団体は5月に設立5周年を迎え、累計1000匹の犬猫をレスキューしてきたという。
この団体、飼い主の審査がけっこう厳しく、全体に厳しいとされる首都圏のレスキューのうちで中くらいという感じ。
飼いたいと思う動機をはじめ、職業と勤続年数・生活パターン・家族構成・住宅環境を尋ねるところは普通だが、ここはもっと突っ込んでくる。
エサ代・グルーミング・わんこ学校でのトレーニング・医療費などを合わせた出費をいくらまでするつもりでいるのか。その予定額を超える出費が必要なときはどうするのか。
これらシビアな問いへの答えを審査され、お見合いがあり、自宅の安全性チェックに合格すれば晴れて飼い主になれる。
こうした厳しいスクリーニングに反発する人もいるが、動物保護の姿勢がとてもハッキリしているこの団体に共感する人も多い。
団体の主宰者は、かつて別の大手レスキューに所属していたが、「いい加減な飼い主」に引き渡されて苦労する犬猫を見て義憤に駆られ、「理想的なレスキュー」を自分で設立したのだから、そこは筋金入りだ。
そんな主宰者Kさんのフェイスブックへの書き込みがおかしかった。
このたびお披露目されたばかりのわんこは、ピレネー系と思われるミックスのファルカーちゃん。
こういう子は保護犬界でも人気が高く、殺到した希望者のなかにトンデモなひとがいたというのだ。
その人は、ファルカーを希望する理由は何かという問いに対して「私がフランス人だから」と言ってきたという。
あのモシモシー、なんとおっしゃいましたー?
ピレネーだからフランス人に優先権がある?マジだったらフランスの自己中心主義万歳!だけど、スペイン人も黙ってないぞ?
とりあえず「フランス人なので」に5拍手。
👏👏👏👏👏
別の希望者は、ファルカーが暮らすことになる住環境について「すてきな犬小屋を用意します!」と言ってきた。
日本では大型犬を室外で飼うことが珍しくないのでピンとこないかもしれないが、アメリカでは愛玩犬はサイズにかかわらず室内同居が常識といってよく、この希望者はけっこうズレている。
主宰者Kさんはこうしめくくった。
「犬を屋外に締め出す人に渡すぐらいなら、わざわざ野犬をレスキューしてくる必要はないわね」
世間は広く、さまざまな価値観が渦巻いている。
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