実は妻にはダッカを去る直前の3月中旬から咳(せき)があり、それはごくたまに軽く咳き込む程度のものではあったが、時節がらコロナを疑った。
感染者をアメリカ行きの飛行機には乗せられないので血液検査をしたところ、案に相違して陰性だったから離脱することができた。
彼女は以前に気管支や肺に問題があったことはなく、咳の原因が何だったのか今もって想像がつかないが、ようやく最近になってほとんど収まり、よくわからないなりに少し安心している。
おりしもバージニア州は、5月下旬から感染者数が減り続けてきたことから、7月1日をもって「フェーズ3」に移行し、社会活動の多くが再開された。
そうかといってわたしたちの日常がコロリと変わるわけではない。
フェーズ3になった瞬間、自分も他人も無敵だウェ~イとなって動き回る人が続出する一方で、わが家はたまにペニーを連れて緑地へ出かける以外は巣ごもりを基本としており、買い物はもっぱら配達に頼っている。
さいきんコストコの配達サービスに注文を入れたら、即座に「品物のピックアップ開始しました」が表示され、やがて「ピックアップ完了」になり、注文から35分後に配達された。
コストコは、すべての注文を2時間以内に配達するといっているが、ときには時間ぎりぎりになることがあり、そういうときは配達員とのあいだでこんなやりとりがある。
「注文品の〇〇がないんだけど、別のモノじゃだめ?」
「いいえ。だったらその品物はキャンセルしてください」
こう返すと、配達商品の額で収入が決まるかられは急にがんばって注文品を見つけてくることがある。
だったら最初からそうしろよと言いたいが、とりあえずめんどくさいから見つからないことにしておけという気分が先立つんだろうな。こんなやりとりをしているうちに制限時間ぎりぎりになってしまう。
ふだんがそんな具合だから、このたびけっこうな量を頼んだのにもかかわらず一切の遅滞なく35分で届いたことに驚いた。
「優秀なひとがいるんだねえ」
とかいって多少舞い上がり気味になったが、アメリカにいるとハードルがどんどん低くなる。まあ世界中どこでもこんなもんだろうけど。
たまに感動バクハツするのは、プラスアルファなサービスを受けたとき。
コストコから配達してもらった日の晩、アマゾンにも注文していた食料品が届いたのだが、その配達員さんはなんとなんとわが家のドア前まで持ってきてくれた。
たいていは1階の受付けに預けて去っていくところ、しっかり「自宅」まで届けてくれたのだ。
これを自力で受け取りに行くと、重い荷物を体にこすりつけることになるため外出着に着替える必要があったり、カートを借りれば返却に行く必要があったりと、なかなかめんどくさい。
配達員さんにとっても「〇号室まで配達いきます」とかいって入って来るのは手間にちがいないが、だからこそいいサービスをと考えてがんばっているのだろう。
そういう気持ちには些少ながらチップ(オンライン払い)の増額でおこたえしている。通常5ドルのところ7ドル50セントとか。
アホみたいな金額かもしれないが、仮にそのひとの月間チップ収入が1.5倍になるとすれば、それなりのインパクトではないか。
最近こうした配達サービスは激増しており、コロナのせいで失業した人たちの働き口になっているようだが、どんな境遇にあっても「いい仕事」をする人がいれば、手抜きばっかり考えている人もいて、こないだはアパート前のちょい広め道路の反対側に駐車したからそこまで取りに来いと言われて驚いた。
こういう横着をしたり注文品さがしを手抜きしたりする配達員は、傷みのはげしい野菜や賞味期限の近い製品を取ってくる傾向にあり、ドア前まで運んでくれる熱心な人は品物選びも丁寧というのがわたしたちの印象。
そういうわけで、いい仕事をする配達員さんを指名できるシステムにしてくれれば、うちは大喜びでチップをはずむし、配達員のあいだに競争が生まれて全体のサービス品質がアップすれば会社のメリットも大きいと思うんだけどなあ。
自由競争の国なんだから、がんばるひとが報われるようにしようぜ。
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