専門家を尊重しない国家はヤバイね。
最近の某超大国は、スズメバチ騒動の後始末がさっぱりうまく行かず、右往左往している。「停戦」や「合意」を発表するたび、わずか数日で話が変わるのはなぜか。
外交の意思決定にきわめて重要な役割を果たしてきた外交官抜きで事を運ぼうとしているからだ。
外交官は長年つちかってきた知識や人脈をもとに情報を集め、分析し、政権にアドバイスを行ってきた。政治や軍の実態だけでなく、〇〇人がこう言っているとき、実はこう思っている・・・といった「言語」を読み取りながら対話することが重要だからだ。
ところが超大国の現政権は、官僚は全員アタマのおかしい左翼だから排除すべきと本気で信じている集団であり、外交面においても大勢の専門家のクビを切ってきたから、仮に現在の騒動をめぐって意見を聞こうと思っても、外交言語を解する人材は完全に払底したといってよく、出口の見えない混乱は今後も続くだろう。
現政権の退場後、アメリカはまともな状態にもどると考えるひとは多いと思うが、その点にかんしてわたしはかなり悲観的だ。
たとえば去年、政権発足の直後に叩き潰された海外援助機関は、この国と世界にとってきわめて大きな損失だった。現在アフリカで猛威を振るっているエボラ出血熱は、もしもあの援助機関が健在であったなら、ごく初期で抑え込めた可能性が高いといわれている。あの機関は、わたしたちの知らないところで何度も何度も「初期消火」に成功してきたからである。

そんなに重要な機関だったら、次政権が復活させればいいじゃないかと思われがちだろうが、現実はそれほど簡単ではない。
第一に、この国が世界から手を引いた「穴」には、現在中国が全力で入り込み、世界の援護者・指導者のポジションを着々と固めつつある。
第二に、仮に援助機関を再生しようと思っても、失われた人材、教育、世界中に築かれた活動拠点を取り戻すことは容易ではない。機関の解体とともに、かれらが使っていたオフィスや資材は失われ、職員住宅も地元の大家に返還されてしまった。それらをすべて再構築するには巨額の支出が必要になるが、新政権にとっても「そこまでのお金はない」となることは必定。
専門家を追い出し、地球上に張り巡らされていた足場を崩してしまったこの国の損失は計り知れない。おそらくこの国は、現在のわたしたちの想像をはるかに超えるスピードで弱体化するだろう。代わりに覇権主義国家が台頭し、力まかせに世界を支配しようとするだろう。わたしたちが最も見たくない未来のひとつである。
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