原油の輸送に大ブレーキがかかって世界は大いに困っているわけだが、個人的にはこの状態は収束に向かうどころか、何か月も(へたすりゃ年単位で)続くことを心配している。
この戦闘状態は、アメリカが「いつやめる」かではなく、イランが「いつまでやりたいか」にかかっているからだ。
まず、イランがホルムズ海峡を押さえることはたいして難しくない。夜闇にまぎれて小さな船を出し、機雷を設置する。それでも通行する船にはドローン攻撃を仕掛ける。安い兵器と少ない人員で制海権を得ることができる。
アメリカが軍隊を総動員して民間船を護衛し、99隻を無事に通したとしても、イランがたった1隻を沈めるだけで、海上保険の掛け金が跳ね上がり、ホルムズ海峡の航行はまったく割の合わないビジネスになってしまう。
というか、そんな危険に海に出てゆく船主も船長もいないだろう。
そうなれば原油価格は更新された高値に張りつき、世界経済はより深刻な混乱へと堕ちてゆく。
ゲームの主導権はイランが握っているのだ。

だからイランは、アメリカがどれだけ強気の交渉に出ようにも、唯々諾々と従うことはないだろう。ホルムズ海峡の制海権を手放さず、世界経済を人質にとっているかぎり、イランは誰かに頭を下げる必要がない。
この状況は、長期化すればするほどイランにとって有利にはたらく。
今イランが世界に訴えたいのは、
俺たちに手を出すな!
これにつきるはずだ。
今回はたまたまアメリカが殴りつけてきたわけだが、国際社会からテロ支援国家として憎まれ、厳しい経済制裁を受けてきたイランは、世界が敵だと思っているだろう。
俺たちに手を出すと、取り返しのつかない惨事になるぞ。
この叫びが世界の隅々にまで届いたことを確認して初めてイランは矛を収めるのかもしれない。
そのようにして事態が収束するとき、イランは核ミサイル開発を諦めて「大きく譲歩」することがあるのか。
たいへん難しい問題だ。
そういうわけで原油価格は今後も上がり続け、諸色が高騰し、つい先月までは誰も想像したことのなかった深刻な混乱が世界に起きたとしても、わたしは驚かない。
以上、悲観的な予測がきれいに外れることを願いつつ。
【補足】言っておくがイランは、危険きわまりないテロリスト支援国家であり、強大な独裁権力を振るってきたハメネイ師は主に女性をターゲットとする深刻な人権侵害の犯人であり、いつか誰かにとどめを刺される結末は当然だが、アメリカのやり方が「正解」だったかどうかはまったく別の話。
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