Pennyと地球あっちこっち

日米カップルの国際転勤生活 ~ ただいまラオス

それなら、黙っていろ

現存する社会主義国家の話である。

国名には立派に「人民」という言葉が入っている。入っているだけで、使われてはいない。人民には、本当のことを知る権利がないし、万が一知ってしまっても、それについて意見を言う権利は実質的に存在しない。

言えばどうなるかというと、ある日突然いなくなる。死んだわけでも、引っ越したわけでもない。ただ、いなくなる。この国では、それを「よくあること」と呼ぶ。

政治家の腐敗は見事なものだ。ありとあらゆる利権をかき集め、国家の将来より自分の将来を優先し、巨万の富を懐に入れる。

街では、先進国の首都でもなかなかお目にかかれないような超高級車とすれ違うことがある。誰もナンバーをメモしたりはしない。ただ静かに思う。「ああ、政治家か、そのドラ息子だな」と。想像ではない。日常風景だ。

人工知能 Genimi によるイメージ画像

官僚は政治家ほど派手ではないが、しっかり上司の背中を見て育っている。目の前を通過する仕事は、大小を問わずすべてピンハネの対象。書類一枚、スタンプ一個、何かしらの「お気持ち」が添えられていないと前に進まない。彼らは今日も勤勉に、ワイロをかき集めている。

以下は実話。

ある日、市民がコーヒーショップに入った。注文カウンターに並んでいたのは、スーツ姿の男たち。省庁勤めらしいが、声が無駄に大きい。

「いやあ、この前〇〇から現金どっさりもらってさー」

「いいなあ。オレはゴルフだったけど、あれはあれで最高だった」

どうやら外交を担当する省の職員らしい。外交とは、外国と話す仕事ではなく、外国から何かをもらう仕事らしい。

異常なのは、彼らが公共の場で、堂々とワイロ自慢をしている点である。ヒソヒソ話す必要がないのだ。なぜなら、聞いている市民のほうが沈黙のプロだから。

この国が発展しない理由は単純だ。国民が豊かになり、それにつれて権利だの自由だの知る権利だのに目覚めることは、腐敗した政治家や官僚にとっては命取り。だから、この国は成長しないのではなく、成長させない。理屈は明快。かれらの実行力も異様に高い。

東隣と南隣の国は、経済成長によって着実に豊かになっている。この国だけが取り残されているように見えるが、実際は違う。ここは立ち止まっているのではない。権力者たちが、蜜の出る場所にしっかりと根を張っているだけだ。

わたしは外国人だが、だからといってこんなことを公共の場に書き込んでいると、いつヒミツケーサツの関心を引かないとも限らない。もちろん頼まれたこともないが、この国のジャンヌ・ダルクになる予定はない。英雄はだいたい長生きしない。

郷に入れば郷に従え。わたしも沈黙を尊ぶ。

それこそがこの国では最も合理的で、最も長生きできる処世術なのである。

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