Pennyと地球あっちこっち

日米カップルの国際転勤生活 ~ ただいまラオス

切断手術

オスカーが南部ルイジアナ州で保護されたとき、びっこを引いていた。脚のちょっとした怪我や不調はよくあることで、現地のレスキューはそのうち治るだろうと考えてオスカーを北部へ送り出した。

バージニアへ来て去勢手術を受けたが、びっこは好転せず、獣医が診ても原因不明。レントゲンを撮ると、脚の付け根に何個かの散弾が見つかった。オスカーは銃撃されていた。残念ながら組織の損傷は治療のしようがなく(すでに壊死が始まっていたからだろうか)切断されることが決まった。

切断手術が行われたのは去勢手術の翌週。それから1週間で抜糸が行われ、数日後にわたしたちに引き合わされた。

残った右脚でピョンピョン跳ねながら、強靭な生命力を見せるオスカー。だがルイジアナでの捕獲、バージニアへの移送、2度の手術、知らないひとたち、大型犬の鳴き声がわんわんと響きわたるシェルター、そのすべてにオスカーは怯え切っていた。無残というほかないが、この子が生き延びる方法はこれしかなかった。

わたしたちが最初にオスカーのことを知った時点では、レスキューのサイトに切断手術の情報はなく、途中でそのことを知ったわけだが、特に気にすることはなかった。犬種や体格、性格などの情報から、我が家にフィットする可能性の高い子と考え、迷うことなく会いに行った。

2週間のお試し同居の許可を得てアパートに連れ帰ると、それから2時間後にはソファに飛び乗ってきて(後肢でしっかりジャンプできる)、わたしたちと打ち解ける姿勢を見せた。見込みどおり人間が好きな子らしい。

そのことには安堵するものの、手術痕を間近にするたび胸が苦しい。どんな愚か者がこんなことをするのか。十把ひとからげな物言いは避けるべきとしても、銃やクロスボウでイヌ猫を狙うやからは南部へ行くほど多いというのは米国に暮らす者の実感だ。

切開の範囲は15cmにおよび、黒い糸が点々と残る

ヒトは手足を失うと幻肢痛を味わうというが、動物にもそれがあるらしい。オスカーが傷痕をさかんに舐めるのは、幻肢痛のせいか、傷口がまだ痒いからか。

激しい怒りが吹き上げてくる。散弾銃でオスカーを撃ったやつはそっくり同じ目にあわせてやりたい。そして、オスカーがわたしたちと暮らすようになれば、いつも最高のケアをしてあげたい。日いちにちと親密になってくれるオスカーを撫でながら、そんなことを考えていた。

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