Pennyと地球あっちこっち

日米カップルの国際転勤生活 ~ ただいまラオス

信号無視で突っ込む

片側3車線のハイウエイ、150メートル先の信号が黄色に変わったのでゆっくり減速し、停止線につけた。次の瞬間、隣の車線をやってきたテスラが赤信号を無視して交差点に進入、青信号で渡ってきた電動キックボードを跳ね飛ばした。

キックボードの青年は頭からつんのめるように一回転して地面に叩きつけられた。

あの野郎、信号無視やりゃあがった!

そう叫びながらハザードランプを灯し、クルマを路肩に寄せてから青年に駆け寄る。

君、君、聞こえるか?!

周囲のクルマから降りてきたひとたちと協力しながら声をかけるが、うつぶせになった青年から反応はない。

いち早く妻が911に電話し、現場の状況を伝え始める。青年は頭のあたりに出血があり、アスファルトにじわじわ広がっていく。911のオペレーターからすぐに止血するよう指示を受けた妻が周囲に大声でタオルを求めたところ、誰かがバスタオルを持ってばたばた駆けてくる。ただどうしたものかそのタオルは濡れており、何があるかわからないから傷口に押し当てるわけにはいかない。幸いなことに青年は動脈を切っている様子はなく、出血は地面にぶつけた頭部からのもの。頭の怪我は最初は勢いよく出血するが、すぐに下火になることが多く、今回もそのように見て取れた。

そのとき青年が低い声でうめきながら動き出した。脳震盪で気を失っていたのだろう。ゆっくりと意識が戻ってきた青年は、地面に手をついて起き上がろうとする。「だめだめだめ!動いちゃだめだよ!そのままじっとして!」「すぐに救急車が来るから君はもう大丈夫だ、どこか特別に痛むところはあるか?!」

青年がうめくような声を出した。「おれ・・・事故った?」

何が起きたのかも覚えていないほど一瞬の出来事だったはず。怪我の重さも今は想像がつかない。テスラの運転席からふらつくような足取りで降りてきたドライバーが、青年のそばに跪いて声をかけ始める。

Sir, sir, ... I'm so sorry...

いまは話しかけるんじゃない!そうドライバーを𠮟りつけ、後ろに下がらせる。少なくともこのドライバーが逃げなかったことは幸い。テスラからもぎとられたナンバープレートはしっかり確保しておいたけど。

じりじりしながら待つこと数分で救急車が到着。救急隊員が冷静な態度で青年の様子を見て、簡単な止血のあと頸椎の損傷にそなえて首にコルセットを巻き、ゆっくりとストレッチャーに乗せる。

このときまでに青年は、ゆっくりと会話ができるようになっており、ストレッチャーの上で携帯電話を取り出してどこかにかけていた。素人目には一件落着というふうにも見えるが、何がおきているかわからない。重い後遺症がないことを祈るばかりだ。

ところでアメリカで交通事故があると、救急車のほか消防車が2台も3台もやってくることが普通。クルマの炎上に備えてのことだろうか。いまどきはEVのバッテリー火災もあるから十分に警戒せんとね。

怪我人の処置がひと段落し、消防車3台のうち2台は去っていったが、1台は現場にとどまり、交差点のなかほどにいる救急車にクルマが突っ込んでこないよう、大きな盾の役割を果たしているように見えた。あんな信号無視ドライバーがいるくらいだもの、ろくすっぽ注意も払わず交差点に入ってくるドライバーはいくらでもいるだろう。救急や消防のひとたちは、その意味でも体を張って仕事しているんだね。

ちなみに我々は目撃者なので、やってきた警察官に証言をとられたです。仮にテスラの加害者が「ぎりぎり青だったので」とか抜かしても絶対に通用しない「明々白々な赤無視」であったことをキッチリ伝えました。

とはいえ話をしたのは妻だけで、わたしは三歩さがって頷いているだけだった。こういうご時世なので、グリーンカード保持者は頭を低くしていなければ身を守れない。じっさい警察官によれば妻は「2か月後くらいに法廷で証言を求められる」可能性があり、国外勤務の公務員であれば免除されるかもしれないが、わたしだったらそれがどんな面倒に発展するか想像がつかない。

そういうわけで暴走車とナントカにはくれぐれも気をつけませう。

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