岐阜県高山市には飛騨牛乳というのがあり、県外でも愛好者がけっこういた。だが今年3月、飛騨牛乳の製造者である協同組合が生産を終了した。
大手企業のブランドに価格で太刀打ちできないばかりか、苦しいなかで新工場への投資を行ったこと、そもそも酪農家が減少していることなどが原因らしい。
18歳まで高山で暮らしたわたしにとって牛乳といえは飛騨牛乳であり、他の選択肢もへったくれもなかったから、あの土地から飛騨牛乳がなくなるというのは羽田空港から滑走路がなくなるような喪失感といえばいいか・・・
こういうふうに倒れてしまう地方ブランドがあれば、商機を生かして大成長するものもあり、なんでも田舎が弱いという話にはならないが、価格競争という側面において大企業への太刀打ちは容易ではないだろう。
地元からの信望あつい飛騨牛乳は、もっと値上げすればよかったのか。
今の世情では難しいだろうなあ。良いものには相応の金を払うという消費行動はふところに余裕のあるときの話。いまの日本は1円でも安い方にどっと流れる貧しい社会。生き残るのは価格競争力のある大企業の製品ばかりで、地方の産品がどんどん姿を消していくのであれば、今後の日本の風景はますます平板で貧しいものなっていくだろう。
6月末に日本へ行くんだけど、せいぜい「地方のいいもの」を応援する消費をしたい。財布の許すかぎりで・・・
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