最近インバンウンド関連の記事で「予約が必要な新幹線の荷物置き場を外国人が勝手に使う」問題が取りざたされることが多い。この現象を性格の悪いわたしはフンと鼻を鳴らしながら眺めている。これは電車のほうが悪い。なんでかというと外国の長距離列車(少なくともヨーロッパの)には荷物置き場がたっぷり設けられていることが多く、みんなが楽々とそこに荷物を置いている。
一方で日本の列車は、荷物スペースが圧倒的に足りない。新幹線の普通席は1両あたり100席程度だが、それに対応する荷物置き場は車両の端っこに数名ぶんしか用意されていないことが多い。いま新幹線の利用者の15%がインバウンドともいわれており、かれらが持ち込む大型スーツケースの数を考えれば、多くの新幹線車両では荷物スペースがまったく足りていないことになる。
日本人はマナー風を吹かすのが好きで、外国人はルールを守らないとか注意しても知らん顔されたとかいって精神論を語りたがるひとが多いだ、だったら荷物は通路やデッキに放置しろというのか。新幹線で旅行するなというのか。
また、荷物置き場は要予約であったり、置き場に隣接した座席とセットで予約する方式だったりするが、そういう仕組みは世界じゅうどこへ行っても存在しないに等しく、言葉の通じない外国人はなんにも知らぬまま切符を買い、大荷物を持って乗車してくる。仮に予約しようと思っても、すぐに売り切れているのではないか。日本式を守れとかマナーだとか言ったところで通用するものではない。
ヨーロッパの真似をすればいいというものではない。たとえば下の写真はパリ-ロンドン間の列車で、これひとつでけっこうな数の荷物を収容できるが、置かれているのは中型スーツケースばかり。
欧州内の旅行者はこれくらいで用が済むわけだが、日本のインバウンドは大荷物だからスペースを食うことになる。
いったいどうすればいいのか。インバウンドの伸びにつれて利益をどんどん伸ばしているJR東海などは、しっかりお金をかけて荷物置き場を拡張すべし。座席が減ることの心配よりも、利用者すべての利便性を向上させることのメリットについて考える時期が来ていると思う。
バンコクの無印良品でスーツケースを買った。十数年間使ってきたやつがあかんようになり、選手交代。今度これを持って日本へ行ったときは、新幹線で難儀したくないものだ。
ブログのランキングというのがあって、これをポチしていただくとたいへん励みになります。