ご存じのようにブルネイは人口44万の小国ながら地下資源に恵まれたぴかぴかお金持ち国家。このたび招かれて移住することになった。失職のキョーフに怯えながら暮らすのは嫌だし、アメリカへ帰るにしても展望が開けないし、日本にもそんなに期待できないからブルネイ行きに乗った。いまブルネイでは石油・天然ガス以外にも希少な地下資源が出始めており、探査の網を広げるうえでわたしのような専門家のノウハウが必要とされているのだが、ブルネイへ行けばいい暮らしができるとしてもあそこはイスラム教国で好きなようにビールも飲めないんだったら困るけど、そこはまあいろんな抜け道もあることで・・・という夢の途中で目覚めたら4月1日だった。
ブルネイへ行くチャンスが皆無というわけではない。ラオスにいるうちに東南アジア各地を歩こうと張り切っていたわたしたちは、ブルネイのあるボルネオ島のエコツアーなんかも楽しみにしていた。そのほかベトナムの発展ぶりを見たり、アンコールワットを歩いたりも「マストだよね~」といって楽しみにしていた。
ところが現状では、ここでうっかりお金を使ってしまうと後でいろいろ困るかもしれない。「大改革」の先行きはまったく読めず、ここまで来たらセーフと思える日は来ないのかもしれない。そうなると気持ちは守りに入る一方で、景気の悪いことはなはだしい。
久しぶりにワインを開けたら、ライン川を見下ろす広大なブドウ畑のことを思い出した。手入れの行き届いた畑だった。地に足の着いた確かな仕事。自分たちの生き方は何か根本的なところで間違っているんじゃないか。ふわりと浮いてくる疑念を抑え込むように、少し酔ってみた。
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