日本へ来ると、街の変貌ぶりに驚かされることが多い。
妻が渋谷の東急系ビルジングの化粧品店に入ろうとしたときのこと。
「お待ちください!」と止めに入ってくる販売員。
「こちらで整理券をお取りになってからでないとご入店できません!」
せ、整理券?!
店内は混み合ってはいるが、買うものがハッキリ決まっている妻は、無駄にうろうろするつもりはない。ぱっと入ってぱっと出てくるのに整理券とか言われても・・・
だが販売員は決然たる表情でブロックしてくる。どうやらこれもインバウンド対策らしい。爆買い民族をはじめとする客が販売員をつかまえては自分の召使いのように質問攻めにしているところへ別の客が突っ込んできて販売員を奪い取ろうとし、別の通路では人気商品の争奪戦が発生する三社祭状態を防ぐための入店制限だ。
だけどさ、普通に日本語を話す客が「買うものは決まっている」と言っているのだから、片目をつぶって通してくれればよさそうなものだが、融通の利かなさは日本のサービス産業従事者の定型のひとつ。
それじゃ整理券をもらったとして待ち時間はと尋ねたら「40分ほどお待ちいただいております」と返され、妻は撤退。
このビルでは、エスカレーターを乗り継ごうとすると、金属製のフェンスで作られた通路をぐるーり回ってくる必要があった。日本人であればそんな誘導をしなくても、いろんな方向から集まってきたひとたちが阿吽の呼吸で譲り合うものだが、インバウンドブーム下にあってはぐいぐいと押し合う危険な状況が作りだされているのだろう。
整理券やエスカレーターの誘導は、何ごとも整然と行われる日本とそうでない地域との文化摩擦、あるいは歩み寄りの現場。
それにしてもここ10年間の渋谷の変貌ぶりはスゴイもので、拙者なんぞ来るたび知らないビルが増えているせいで、長年の方向感覚さえ失ってしまう。それでも屋外はスマホ地図を頼りに歩けるが、巨大な駅ビル(なおかつ工事中)に入った瞬間迷子になる。
渋谷の活気という一点を見るかぎり、「日本の衰退」とかウソでしょって感じ。
活気に満ちあふれすぎて筋肉を伸ばす必要があったのか、これからうんと暴れるつもりなのか、ストレェーッチ!なペニーさん。この子の辞書にも衰退の二文字はない。
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