おーべー。
この言葉は、西ヨーロッパとアメリカの「進んだ文化や思想」を意識して使われることが多いが、こと男女格差をめぐる意識にかんしてアメリカはヨーロッパ先進国に比べてかなり遅れている。
それはたとえば、アメリカ人が女性リーダーを忌避する傾向の強さにも表れている。
ABCテレビの調査によれば、今回の大統領選挙でカマラ・ハリス候補は8月の民主党大会後に女性からの支持を伸ばし、トランプを13ポイント上回った。仮にいま女性票だけで選挙をやったらハリスは楽勝。
一方で、男性は真逆に動いている。ハリスが脚光を浴びるにつれトランプ支持にまわる男性が続出し、党大会以前はハリスが3ポイントをリードしていたのに対し、大会後は支持率が逆転し、トランプが5ポイントをリードする結果となった。
おそらくハリスの勢いを目の当たりにして「このまんまじゃ女性大統領が誕生してしまう!それならトランプのほうがいいや」と考えたからだろう。
もともとトランプ色の強かった白人男性の変化はもっとスゴイ。彼らのトランプ支持率は大会前からハリスを13ポイントをリードしていたが、大会後は21ポイントリードにまで急伸した。
有色人種の女性の頭上には、分厚いガラスの天井がのしかかっている。
以下、大統領や首相など国家リーダーに女性を選んだことのある国々をざっと列挙してみた(とかいって ChatGPT に尋ねただけ)。
アジア
- インド - インディラ・ガンディー(首相)
- パキスタン - ベーナズィール・ブットー(首相)
- バングラデシュ - カレダ・ジア(首相)、シェイク・ハシナ(首相)
- スリランカ - シリマヴォ・バンダラナイケ(首相)、チャンドリカ・クマーラトゥンガ(大統領)
- フィリピン - コラソン・アキノ(大統領)、グロリア・アロヨ(大統領)
- タイ - インラック・シナワトラ(首相)
- ミャンマー - アウンサンスーチー(国家顧問)
- 台湾 - 蔡英文(総統)
- 韓国 - 朴槿恵(大統領)
ヨーロッパ
- イギリス - マーガレット・サッチャー(首相)、テリーザ・メイ(首相)
- ドイツ - アンゲラ・メルケル(首相)
- フィンランド - サンナ・マリン(首相)、タルヤ・ハロネン(大統領)
- アイスランド - ヴィグディス・フィンボガドッティル(大統領)、カトリン・ヤコブスドッティル(首相)
- リトアニア - ダリア・グリバウスカイテ(大統領)
- ノルウェー - グロ・ハーレム・ブルントラント(首相)
- クロアチア - コリンダ・グラバル=キタロビッチ(大統領)
- ポーランド - エヴァ・コパチ(首相)
- スロバキア - ズザナ・チャプトヴァ(大統領)
- デンマーク - メッテ・フレデリクセン(首相)、ヘレ・トーニング=シュミット(首相)
- スイス - シモネッタ・ソマルガ(大統領)、ドリス・ロイトハルト(大統領)
- エストニア - カヤ・カラス(首相)、ケルスティ・カリユライド(大統領)
北米・中南米
- アルゼンチン - イサベル・ペロン(大統領)、クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル(大統領)
- チリ - ミシェル・バチェレ(大統領)
- ブラジル - ジルマ・ルセフ(大統領)
- ジャマイカ - ポーシャ・シンプソン=ミラー(首相)
- カナダ - キム・キャンベル(首相)
- コスタリカ - ラウラ・チンチージャ(大統領)
- ボリビア - ジャニン・アニェス(暫定大統領)
- ハイチ - エルタ・パスカル・トルチル(暫定大統領)
アフリカ
- リベリア - エレン・ジョンソン・サーリーフ(大統領)
- マラウイ - ジョイス・バンダ(大統領)
- エチオピア - サヘレ=ワーク・ゼウデ(大統領)
- モーリシャス - アミナ・グリブ=ファキム(大統領)
- 中央アフリカ共和国 - カトリーヌ・サンバ=パンザ(大統領)
- セネガル - マケイ・サル(首相)
オセアニア
- ニュージーランド - ジャシンダ・アーダーン(首相)、ジェニー・シップリー(首相)、ヘレン・クラーク(首相)
- オーストラリア - ジュリア・ギラード(首相)
中東
- イスラエル - ゴルダ・メイア(首相)
こうしてみると、おーべーせんしんこくのトップランナーであるはずのアメリカが、ある意味ではどれほど後進的なのかがよくわかる。
アメリカは男ばかりが道の真ん中をずいずいと押し歩きたがるイナカ臭い社会。
同時に、リベラルな男性とそうでない男性の価値観の差がどこよりも大きい社会ともいえるかな。
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