Pennyと地球あっちこっち

日米カップルの国際転勤生活 ~ ただいまラオス

気持ち悪いでコザイマス

日本のテレビを観ていたら、JA全中(一般社団法人 全国農業協同組合中央会)の会長というひとが「ただいま日本の農業はたいへん厳しい状況に置かれてございます」とおっしゃった。

おそらくご本人は「置かれております」よりも丁寧で重みのある表現のつもりでおられたのだと思うが、いうまでもなくこれはヘンな日本語だ。

語尾を「ございます」へもっていくこの話法は、霞が関の役人が始めたもらしい。

「施策を行ってございます」

「検討してございます」

いずれも普通の日本語では「います/おります」というところ、国会答弁に引っ張り出されることのある中央官庁の高級官僚は、並み居る議員先生方の前で襟を正したふうに見せたいからか、「ございます」を乱発するようになった。それをかっこいいと思ったのか、便利な防護服だと思ったのか、部下どももこれを真似るようになった。

世の中は広いもので、このございます話法をカッコイイと感じるひとは霞が関の外にも一定数いて、地方自治体の役人にもけっこう広まっているらしい。地域のケーブルテレビで県議会・市議会を中継してたらチェックしてごらんなさい、答弁に立った役人がございます話法をやるかもしれない。おそらく県庁の役人が霞が関に出向中、この荘重なる役人ことばを発見して持ち帰ったものだろう。

丁寧にしたつもりの気持ち悪い日本語が蔓延してるよね。「こちら、〇〇となります」が代表的な例。うどんやカレーがそういって出てくるのはまあしょうがないとして、ファミリーヒストリーに登場する学校の先生などが「こちら、当時の成績簿となります」とやるのを耳にすると、おいあんた大学出てんだろとお尋ねしたくなったりするわたしはうるさい年寄になり果てたのだろうか・・・

というせせこましい思索を吹き飛ばしてくれたのは、翼下に広がるバージニアの大地だった。鍋釜と家族を馬車に載せ、沃野の夢を追って西へ南へと散っていった開拓者たち。妻の先祖もそのひとりで、17世紀の終わりころ米北東海岸地域からテキサスに向かって移動を開始したらしい。その雄大かつ苦難に満ちた足跡が、ちょうど窓の下のこの景色のなかにも隠されているかもしれない。実に雄大。そう思うだけでアメリカ人と縁(えにし)を結んだことの幸せがじわじわと湧きあがってくる。

つまりそういうことなんだから「置かれてゴザイマス」や「成績簿トナリマス」を気にするのはもう止めにしようと、一応自分に言い聞かせている。

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