Pennyと地球あっちこっち

日米カップルの国際転勤生活 ~ ただいまラオス

珍しいところへ行ってきた

機関銃を抱えた兵隊さんがずらりと並び、これでもかってほどの厳重警備を行うビルに入場した。ペンタゴンと呼ばれる米国防総省は、9.11のテロ攻撃を受けた重要拠点で警戒が厳しいのは当然だが、そんなところへ行ったのは親戚のセレモニーに出席するため。

壇上の右端にいるのが我が親戚で、このたび大佐に昇進することになった。

大佐ってのは将軍クラスのひとつ下で、会社だったら部長みたいなイメージだが、そこまで昇進できるのは100人にひとりかふたりで、大層な出世と認識されているらしい。職場のひとたちや家族親戚ら100人ほどが参集したこの部屋 Hall of Heroes は、中将以上によるリクエストがなければ使えない格式ある空間。

(左から)陸軍、海軍、空軍名誉勲章の模型

ちなみに、ここでいう Heroes というのは昇進してエラくなったひとたちではなく、過去に名誉勲章を受けてきた軍人のことを指している。ご存じのように「戦闘においてその義務を超えた勇敢な行為をし若しくは自己犠牲を示したアメリカ軍人」に授与される最高位の勲章で、これを胸につけていれば上の階級の軍人からも敬礼を受ける特権を有する。これは序列の厳しい軍隊にあってはきわめて異例な扱い。

名誉勲章は、19世紀に設定されてから今までに約3400人が受賞しており、その全員の氏名・階級が Hall of Heroes には記されている。なんといっても第二次世界大戦が最多で、ここに写っている3倍ほどの受賞者がいた。

名誉勲章の悲しさは、「義務を超えた勇敢な行為」により戦死した将兵が多くいること。かれらは死後に贈られた米国軍人最高の栄誉を目にすることなく、地中に葬られた。

第二次大戦が名誉勲章のメインストリームだとすれば、現代アメリカ人のほとんどが名前すら知らない戦闘で活躍した将兵もいる。

コリアン・キャンペーン(朝鮮作戦)の発端となったジェネラル・シャーマン号事件は、通商を求めて朝鮮に来航した米商船が焼き討ちにあい、乗組員全員が殺されたことに対抗してアメリカが軍艦を送った(事件の発端は米商船が朝鮮側の使者を捕縛したことが発端といわれている)

米朝間の戦闘はほんの数日で終結したが、そのあいだにも目覚ましい活躍をした将兵がいて、15名が名誉勲章を受けることになった。そのことを知るのはかれらの子孫のみだろう。

なんというかそういう歴史のあれこれを噛みしめる Hall of Heroes において更にわたしの目を引いたのは、おめでたいときに振る舞われるクッキー。

これは空軍のシンボルマークをかたどったもので、たいしたことなさそーにも見えるが、けっこうなお値段するものらしく。1個もらってきたけどまだ賞味してません。

このたび昇進することになった親戚さんには、名誉勲章なんかいらんから嫁さんと子供を大事にしてやってくれとヒソカに願うのであった。一般市民は気楽だね。

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