民泊開業にむけての作業は、役所への煩雑な許可申請は時間が解決してくれるし、設備の充実はお金が解決してくれることだけれど、意外なところにめんどくさい問題が潜んでいた。
うちの敷地と隣地の間には20cmほどの段差があり、うちのほうが低い。
隣地は月極駐車場になっており、以前そこの利用者がうちの敷地に入ってこようとして段差でクルマの腹をこするトラブルがあったことから、隣地の地主さんが低いブロック塀を建ててタイヤ止めとした。
ところがこのブロック塀が、うちの側では鬼門になってしまった。ドライバーから大変見えにくく、うっかり寄せすぎてバンパーをこすってしまうことが多いのだ。わたしたちは慣れているからいいが、来客用にも使うため、誰かが来たら急いで飛び出していって誘導するなど気を遣っていた。
この駐車スペースを民泊の客用にしようとしている。そうすると、無人の宿(チェックインはリモート)だから安全に誘導して差し上げるわけにもいかず、お客さんの愛車やレンタカーを危機にさらすことになる。楽しむぞー!と目的地に着いた瞬間バンパーこするなんて最悪の旅行体験。
そこで先日、隣地のオーナー爺さんに相談に行った。本音ではブロック塀を撤去してもらいたいのだが、相手は一癖ある人物で、いきなり刺激して関係を悪化させてもいかんので、ゆるゆると話を進める。
まず、ブロック塀のおかげで我が方がどれほど苦労しているのか、過去どれだけの破損事故があったのかについて切々と訴え、これをなんとか解決したいのだがと説き起こす・・・
つもりだったんだけど爺さんは思いのほかタフな交渉相手だった。ふむふむ、と頷きながら話は聞いてくれるんだが、口を開けば「うちの利用者のクルマが腹をこすったことがありましてな」とブロック塀設置にいたった経緯の説明が始まる。
ははあそれは大変でしたねと受け止め受け止めしながら話を前に進めようとするが、「腹をこすりましてな」を際限なく繰り返すぶっ壊れレコードぶりに手を焼いた。
ようやく正気にもどった爺さんがこちらの問題点について理解した様子だったので、解決策を提示。何本かのポールをブロック塀の上に立てることで、視認性を上げようというもの。
こうすることで我が方ばかりでなく、隣地のクルマにとっても境界線がわかりやすくなり、見かけのダサさ以外はいいことづくめだと思う。しかも工事費用はこちら持ちという提案である。
「ははあ... そういう手がありますかの」と話に乗りかかったと思った瞬間「腹をこすりましてな」に後戻りする爺さんを引き戻し引き戻しながら、ようやくOKをもらうことができた。
3週間後、爺さんから電話があり、やっぱりあれは止めたという。聞けばポール設置の件を家屋調査士に相談したところ、既存のブロックに穴を開けたりしない方がよいと言われたという。
ポールを固定するためブロックにボルト穴を開けると、雨水の浸入により長年のあいだにコンクリートが劣化するという懸念はわかる。だからわたしは爺さんに、そういうリスクを回避するためボルトではなく接着剤でポールを固定する案を提示した。そうすれば、あとでポールを撤去することになったとしても、ブロック塀には接着剤の跡(暗い灰色)が残るくらいで、迷惑を最小限におさえることができる。
ところが爺さんの脳みそにはすっかりボルト穴が穿たれてしまい、それを聞いた家屋調査士から反対意見をくらって、ポールやだやだ症候群に陥ったのにちがいない。挙句の果て爺さんたら、そっち側の敷地に新しくブロック塀を作ってくれと言ってきた。
繰り返すが、問題のブロック塀は爺さん側のクルマの飛び出し防止には役立っても、わが方にとっては単なる迷惑施設。それを撤去しろと言っているのではなく、ポールの設置により視認性アップという互いにとってメリットのある案を示したつもりだったが、ハテわけのわからぬ展開になってしまった。
この件、爺さんと電話で話しても解決どころかこじれるリスクしか思い浮かばないので、当面は放っておき、次回日本へ行ったとき再度ゆるゆると説得してみたい。
ちなみにわたしのほうでも考えに変化があり、やっぱりブロック塀は撤去してもらい、その跡地にポールを立てる(工費はすべてこちら持ち)方向で行けないかと思っている。どんなに視認性を上げても、あの中途半端なブロック塀があるかぎり接触事故は避けられないと思うから。ドライバーの技量はさまざまだしね。
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