Pennyと地球あっちこっち

日米カップルの国際転勤生活 ~ ただいまラオス

妻、カウンターパンチを決める

妻が昇進した。イエイ。

係長→課長とかいうのじゃなく、ヒラだけど職員等級がひとつ上がった。

妻は他省でのキャリアをもって入省したので、最初から中ぐらいの等級でいたのが、ひとつ上がったというだけのことだが、今回の昇進には重要な意味があった。大雑把にいうとクビになりにくい地点まで到達した。日本の公務員と違って、無難に勤めているだけでは追い出される可能性がけっこうあるのだ。

このサバイバルレースにおいて大きな意味を持つ昇進チャンスを全力で妨害しにきたのがブリュッセルの悪魔だった。5月にわたしが切れまくったことをご記憶の方もおられると思うが、あの日悪魔は妻の昇進を大きく左右する人事評価シートを書いた。その内容は、はっきりとした悪口こそ巧妙に避けつつも、この部下がどれほど能力低く、反抗的で扱いづらいのかを匂わせる記述を連ねたうえ、「今期の昇進は見送るべき」と結論づけた。

悪魔による評価は正しかったのか。わたしは妻のオフィスでの仕事ぶりを見ていないからなんとも言えないが、かつて職場を共にしたときに目撃した能力とモラルの高さを考えれば、悪魔の記述は嘘っぱちとしか思えない。

ちなみに妻の直属上司は妻を「非常に有能」と評価したが、そのひと自身が前年に悪魔とモーレツに衝突し、人事部が入って仲裁という経緯があり、悪魔がそんな「敵」の意見に耳を貸すわけもなく。

悪魔がでっち上げた評価シートは、通常であれば今後数年間は昇進不可になるほどの重量級パンチだった。オフィスで日常的に虐めるのとはレベルが違い、部下のキャリアを潰しにかかろうとするパワハラの極致。妻は怒りと絶望にさいなまれ、出勤できなくなり、自主退職寸前まで追い詰められ、アメリカへ逃げてきた。

ところがそれから4か月。すっかりあきらめていた昇進が実現した。いったいなぜ。

おそらくというか間違いなく、過去のダッカでの評価シートが悪魔の記述を吹き飛ばすほど良好だったからだと思う。とくにダッカのナンバー2による評価は、聖徳太子のこってすかいというほどの絶賛だったことは妻も知っている(見せてもらえるので)。通常は最新の評価が最重要視されるところ、逆に悪魔が書いた罵詈雑言が過去の評価と食い違いすぎて悪目立ちし、退けられたのではないか。

だとすれば悪魔は虚偽の記述で部下を陥れようとする邪悪な人物としてしっかりマークされたかもしれない。ざまあ見ろ。渾身のカウンターパンチを食らえ。

ところで妻が昇進の件を知ったのは、今月はじめ、ワシントンダレス空港で日本行きの飛行機を待っているときだった。ANA搭乗ゲートで飛び上がってガッツポーズしまくるジジイを見た方がおられたら、あれ拙者な。

ささやかな勝利についてここに書かずにいたのは、妻の新しい職場が確定するまで一切のリスク(=悪魔の妨害)を避けたかったから。おかげさまでめんどくさい「採用手続き」も先週ようやく終了し、今週から仕事が始まっている。今のところ悪魔との接点は考えられない業務なので、心置きなく打ち込んでほしいと思っている。

部屋が片付いてねえ(笑)

ブリュッセルに君臨した悪の帝王に、素手で立ち向かった妻。大怪我はしたし、今も執拗なフラッシュバックに苦しんではいるが、すべてやられっぱなしではないところに小さな希望がある。新しい職場に変なのが潜んでいないかどうか心配ではあるけど。

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