Pennyと地球あっちこっち

日米カップルの国際転勤生活 ~ ただいまラオス

ユダヤ青年「◯◯とだけは絶対に結婚しない」理由

5月、ブリュッセルの路上をいく渋い服装のふたり。

男性のフロックコートにキッパと呼ばれる帽子、そして長く伸ばしたもみあげが超正統派ユダヤ教徒であることを示している。ブリュッセルのわたしが暮らした界隈でこういうひとを見るのは1年間で初めてのことだった。

女性は艶やかな髪をしているが、これはほぼ間違いなくウィッグ。超正統派の女性は成人または結婚すると髪を剃り、外出時はスカーフやウィッグを着用する。

髪を落とす目的をざっくり言えばイスラム教と同じく「男女間のあやまち」防止。そのほかスカート丈は膝下、ブラウスのボタンは上まできっちり留めて肌の露出をおさえ、派手な色や模様も避けるべしといったドレスコードがある。

超正統派ユダヤ教徒の女性たちは服装にとどまらず様々な戒律に縛られ、男性の命ずるがままに暮らし、外部から見れば時代錯誤な生き方をしている。ネットフリックスの「アンオーソドックス」は、そうした伝統社会から逃げ出そうとする若い女性の苦闘を描いて世界的なヒットになった。うちでも観たけど、21世紀の先進国にこんな生き方があるのかと驚くばかりだった。

UNORTHODOX 親が決めた結婚のため髪を落とす主人公

エルサレムに長期出張したとき、超正統派の暮らす地区にはうっかり近づくなとアドバイスされた。

安息日である金曜日、ユダヤ教では火の使用が禁じられており、食事の調理はすべて前日までに済ましておく、照明のローソクは前日からつけっぱなし(新たに着火しなければOK)といった工夫をする。

一般のユダヤ教徒とくらべて超正統派はこうした戒律をきわめて厳格に守っており、かれらの暮らす地区の金曜日はたいへん静かになる。そこへ異教徒どもがクルマで通りかかろうもんなら、火(ガソリンエンジン)を使う不届き者めがっ!!と怒りに震える超正統派のおっさんが石を投げてくるってんですね。

言い方は悪いが、このようにキャラが濃いユダヤ教徒は、過去2000年間ヨーロッパ全土に広がりつつも、異教徒との婚姻で入り混じることたいへん少なく、孤高の暮らしをいとなんできた。そのせいで生物学的な血も濃くなる傾向があり、ユダヤ人に多い遺伝性疾患(テイ=サックス病カナバン病など)が存在する。

わたしたちの知り合いのユダヤ系アメリカ人Dさんは体格が小柄、子供のころ体が虚弱でたいへん苦労し、その原因は「血の濃さ」だと考えている。

―― だからユダヤ女性とは絶対結婚しないよ。

常々そう言っていたDさんが結婚相手に選んだのはアフリカ系のひとだった。しかも大学院でキリスト教を専攻し、そっち関係の仕事をしているひと。

Dさんはそれでよくても家族はどうなん?と心配になったが、彼のファミリーはユダヤ教徒といってもずいぶん世俗的なひとたちで、かなり本格的なキリスト教徒のヨメはんを温かく迎え入れてくれたという。

以上、ユダヤ人といってもいろいろということを言いたかっただけ。

ちなみに多民族の血をひく我がヨメが優秀なのは「血の薄さ」のせいだと、拙者半分本気でそう思っている。

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