Pennyと地球あっちこっち

日米カップルの国際転勤生活 ~ ただいまラオス

このひとにお願いしたかった

民泊開業プロジェクトに暗雲が垂れ込めた。

ひとつには、わたし自身の動き出しが遅れること。5月に一時帰国して開業準備に着手するつもりでいたのだが、航空券がとれなくて日本へ行けない。

いまだに強固な鎖国政策の一環で、旅客便の座席をフルに埋めないよう政府から航空会社にお達しが出ているらしく、そのせいで日本人の移動の自由も制限されたかっこう。中国のロックダウンについてあれこれいうひとがいるけれど、世界的に見たら日本の異様なまでの慎重さは中国と似たものグループに入るんじゃないか。

と、怒りの持って行きどころを間違えたおっさんがブリュッセルの夜空に向かって吠えている。

垂れ込めた第二の暗雲は、開業にあたり頼みにしていた人物が突然に亡くなったこと。

そのひとFさんは、わたしの実家の2件となりでバックパッカーのための宿を経営していた。Fさん自身が旅人として世界を歩きながら考え続けた「理想の宿」を実現すべく、帰国後、外国人客の多い街へ来て開業した。

気持ちのこもった宿だから運営には力が入っていたようだ。レビューには「Fさんの丁寧で気さくな対応に感動した」「施設の清潔さがすばらしい」といった声が並び、評価点数は地域の民泊のうち常に最高位にあった。

海外暮らしのわたしはFさんとの面識がなかったが、以上のことを聞いて知っていた。それだけのマインドとノウハウをもったFさんが近所にいて、もしも業務の一環としてわたしの民泊の運営を見てくれたら、こんなに有難いことはないと考えた。

うちは家族やグループ向けの一棟貸しを予定しており、Fさんの宿とはターゲットが違って食い合いにはならないだろう。逆に何がしかの相乗効果も期待できるのでは。

そう考えてFさんに相談をもちかけるべく挨拶のメッセージを送ったのだが、なかなか返事が来ない。

2年来のコロナのせいでFさんの宿も苦しんでいたが、大家さんから厳しい家賃の取り立てにあうどころか、あんたも大変だねえといってアルバイトをいくつも紹介してもらったりしながら元気にやっている様子をフェイスブックで見ていた。

Fさん撮影「久しぶりに宿がにぎわって涙が出るほど嬉しかった」日の駐車場

いったいどうしたのかと思っていたところ、人づてにFさんが急病で亡くなっていたことを知らされた。

たしかFさんは30代。まだこれからという有為な人材で、地域社会にもよく溶け込み、年寄連中からも愛される存在だったのに、運命とはこういうものなのか。

瞑目。

わたしの計画は降り出しにもどった。

Fさん亡きあと運営を任せられるひとがいないわけではなく、運営代行をなりわいとする業者さんはいるのだが、英語を話せるひとがおらず、グーグル翻訳によるメールのやりとりに限られるため、宿泊前はもちろん、チェックイン後のちょっとした問い合わせにも時間がかかってしまうことなど、サービス品質については割り切るしかなさそう。

事業は人に依(よ)るものだと、あらためて感じさせられている。

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