Pennyと地球あっちこっち

日米カップルの国際転勤生活 ~ ただいまブリュッセル(ベルギー)

プーチン去ったとて

悲観的なハナシです。

ロシアで政変が起き、暴走プーチンが皇帝の座から滑り落ちたとしたら、現在進行中のゴタゴタは収まるだろうか。

新たなロシア政府は「侵攻は間違いでしたゴメンナサイ」と反省してウクライナから兵を引くだけでなく、2014年にウクライナから強奪したクリミア半島など東部地域を返還したりするだろうか。

クリミア半島および「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」と称するロシア支配地域(斜線部)

わたしはそうは思わない。

プーチンがいなくなったからといって、ロシア人の心のなかにある「大ロシア」への渇望が消えるわけではないからだ。

21世紀のヨーロッパでは、例えばフランスが国勢を強めたいと欲したとき、ベルギーに軍事進攻してフランス領にするといった発想はなく、その代わりに国内産業を振興し、EUという共同体を活用することでフランスを豊かに強くさせようとする。

ところが19世紀的な価値観から前進していないロシアでは、国勢強化=領土拡張という発想が今も根強い。なおかつ、そのようにして「大ロシア」が達成されるならばEUのような付き合いの面倒くさい共同体に頼ることなく独力でやっていけるという尊大な気分(旧ソ連のプライドともいう)も濃厚。

したがって、「プーチンのやり方は乱暴だったけど、ウクライナから取り上げた土地はロシア領」という単純な自己正当化がロシアの総意と考えていいだろう。そういうのはマズイよというリーダーが出てきたら、その政権は長持ちしないに違いない。

この状況を根底からひっくり返し、プーチン去りしあとのウクライナを正常にもどすには、誰かがロシアと戦争して勝利し、降伏したロシアから領土を取り上げ、そのうえ莫大な戦時賠償金を取る以外に方法はないわけだが、誰が世界一の核兵器保有国と全面戦争などするものか。

したがって今後ロシアの政体がどう変わろうと、強奪されたウクライナ領土が回復される可能性は限りなく低いとわたしは思っている。

日本には甘い夢を追うひとがけっこういて、ロシアがウクライナ侵攻に「失敗」して世界からバッシングされる流れが強まったら、その勢いに乗って北方領土を返還させようという意見がある。すべてを正常化させる、という夢。

だが残念ながらそれもないだろう。

どこの国であっても、国民が「正当な領土」と認識するものを他国に譲り渡すことなどまず起きないと思っていいが、大ロシア主義者が相手の場合だと特に難しい。

以上をまとめると、プーチンの基本的な価値観はロシア国民の多くによって共有されており、誰がプーチンのあとを継いだとしても、ロシア外交(領土拡張主義にもとづく不当な軍事侵攻や居直り強盗的な態度)の基本は変わらないと考えるのが順当だろう。

ロシアは甘くない。

そのことをよく意識しながら今後の向き合い方を考える必要がある。

繰り返し言っておくが、わたしは個人としてのロシア人が好きだし、チャイコフスキーなど数多の芸術家の作品を深く愛している。だからこそ悲しくもある。

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