オリーブを預かるにあたっては、ちょっとした事情があった。
「ペットの預かり互助会」みたいなオンライン掲示板に登録していたら、オリーブの飼い主Bさんから連絡が来た。家族旅行にあたりペットホテルを予約したが、最初の数日間は空き室がなく、預かりのできるひとを探しているという。
うちでよければと申し出た。ただし、預かるわんことペニーの相性チェックが必要なので、すぐに引き合わせをしましょうと提案。預かり開始日は5日後に迫っており、もしも相性NGだったらBさんも困るだろうと思ったから。
その後の展開は後味の悪いものだった。日曜、来客があって時間が読みにくいというBさんのため、こちらは午後いっぱいを空けて待機していたのだが、待てど暮らせど連絡が来ない。夕方、しびれを切らして問い合わせしたら「あらごめん、楽しくてあっという間に時間が過ぎちゃったわ。今日はもう無理」という返信が来た。目を疑った。
いや目を疑ったというのはウソで、こういう展開は予測できていた。実はBさん、関わったひとのすべてが「トンデモナイひと」「今後一切関わり合いたくない」と口を揃える札付きパーソン。
人並み外れた上昇志向、他人の些細なミスを関係者全員の前で罵倒する粗暴さ、部下の功績を自分の手柄にすり替えて上に報告する狡知といった闇属性を毎日フルパワーで発揮しているモンスターなのだ。
妻もBさんには幾度となく嫌な思いをさせられており、今回の御事情について同情のかけらもないのだが、個人的に貸しを作ることによりBさんの毒牙から少しは逃れやすくなるだろうとの計算があり、オリーブの預かりを申し出た次第。
だが、並外れて自己中心的で、周囲の人間すべてが自分の奴隷だと思っているBさんのこと、日曜の午後いっぱいを空けて待っているわたしたちになんか気を遣うわけもなく、華麗にスルーなさった。
わんこの引き合わせは延びに延び、預かり希望日の前日になってようやく実現。そこで「相性NG」となったとしても、どうせBさんのことだから無理矢理ねじこむつもりでいたのだろう。その期間ペニーをどこかに預けておけってか?
もうひとつ、オリーブは途中でペットホテルへ移るのだが、そのときBさん一家は旅行中。いったい誰が連れてくの?
この疑問がBさんの頭にひらめかなかったのか、んなもなぁ奴隷の仕事と思っていたのか知らないが、向こうからの相談はなかった。
┐(´д`)┌ヤレヤレ しながらもわたしたちは、1グラムでも貸しが増えることに期待しつつオリーブの引越し役を申し出た・・・
というのは動機のほんの一部で、わたしたちの願いは、他のワンコとの同居がペニーにとっていい体験になることだった。
それはさておき、オリーブは慣れない環境でよく頑張った。
散歩から帰ると、神経質な奴隷がオリーブの足を洗いたがるんだけど、仕方なくつきあってくれたよね。途中から自分でシャワーパンに入ってくれるようになり、ほんとに助かった。
オリーブについては最初から気になっていたことがある。あんまりブラッシングされていないように見えたのだ。
お別れの朝、伝家の宝刀をスッと抜く。
手袋式ブラシなんてものをどこの天才が考えたのか知らんが、けっこう便利なんだよね。
シュッシュッ、スー・・・
嫌がらないどころかえらく気持ちよさそうにするので、すぐにハーネスを外して全身ブラッシング。
ちょうど換毛期だしねー、こんな量が5回も取れた。
美人度アップしたオリーブを連れて、ブリュッセル郊外に向かう。
30kmほど行くと、見渡す限りの農地。
のどかな田舎のペットホテルに到着。
オリーブのベッド、クスリ、ペットフード、縫いぐるみの残骸を手渡してチェックイン完了。
スタッフに引かれていくオリーブ、しばらく行ってから「あれれ?」という顔で振り返る。
たった5日のあいだにようやく慣れてくれたのにゴメンな。いい子で過ごせよ!
飼い主がどれだけアレでもワンコに罪はない。こういう別れはちょっと辛いもんだね。
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