ウクライナ侵攻はヨーロッパの出来事なので、ブリュッセルにいても落ち着かない思いをすることがある。
侵攻開始後すぐに反露デモが行われ、街が青と黄色のウクライナ国旗色に彩られ、ロシア大使館前の歩道上にはプーチン非難のメッセージが書きこまれ、緊張感が街頭に満ちている。
ちなみにロシア大使館では周囲の路上を行き交うひとたちを何台ものカメラで監視し、録画・分析して「役立てて」いるので、もしもあなたが路上に落書きをしたい場合はそうした事情をご理解のうえドシドシおやりください。
そういえばワシントンDCではプロジェクションマッピングの機材をもつひとが「ロシア大使館を見下ろす住居のベランダ(と電源)」を貸してくれるひとがいないかSNSで呼びかけていた。
巨大スクリーンのようなロシア大使館ビルをウクライナ国旗で染め上げる計画。
ロシア大使おっこるだろうなあ。
アメリカの法律がどうなっているか知らないが、敷地に立ち入ったり物を投げ込んだりするんじゃなく、ライトを当てるだけなら犯罪にはならないような気がしており。
ロシア大使館の隣にはマンションが建っており、物理的には可能だろうが、ならず者国家を相手にことを構えようという話だから、ベランダを貸すには度胸もいるだろう。
そんなやりとりがSNSで展開するなか、「あそこのマンションには民泊貸しの部屋があり、僕はそこに泊まったことあるよ。ロシア大使館ばっちり見えたよ」との情報が。なるほど民泊だったら家主は知らん顔できるもんな。ここまで情報が出そろったんだから映写大会、ぜひ実現してもらいたい。
話をブリュッセルへ戻すと、妻の職場のあるひとはオフィスのパソコンに触っていないのにカメラが起動するようになり、原因不明ながらたいそう気持ち悪がっている。とりあえずカメラにはガムテープをおすすめしたい。
そのほか核攻撃の恐怖ってのもある。
ロシアに銃を向けた国にはミサイルぶちかますぞ・・・というほのめかしをプーチンは繰り返しており、不幸にしてそれが実現してしまえばロンドンやパリだけでなく欧州機関の中枢が置かれているブリュッセルは灰になるだろう。
そんなことしたら全ロシアが焦土になるからやらないよ、核のヨクシリョクってやつで。というのが従来の常識だったが、2022年型プーチンには通用しないかもしれない。
最近の彼は「いかにロシアが多くのものを奪われてきたか」についてのグチを1時間でも2時間でも垂れ流すようになっており、老人性の被害妄想が疑われる。
被害妄想の果てには、破壊的な行動が待っている。周辺国を切り取って「大ロシア」を復活させる夢をプーチンはまじで追っているんじゃないか。
ちなみに彼は口を開けば「ウクライナは昔からロシアの一部」と言いたがるが、ウクライナの首都キエフは東ヨーロッパ最古の都市であり、そこから900km離れた未開の森林地帯(今のモスクワ)にロシア国家ができるのは何百年もあとの話。
— U.S. Embassy Kyiv (@USEmbassyKyiv) February 22, 2022
ロシアの一部とかたわけたこと言ってんじゃないよ。
老人性のアブナイひとといえば我が豊臣秀吉は晩年、中国大陸の支配という妄想にとりつかれ、その足掛かりを築くため朝鮮に出兵した。あの暴挙により周辺民族にどれだけの迷惑をかけたかわからないが、もしもプーチンがそういったスケールの妄想に取りつかれているんだったら核の発射ボタンぐらいちょろりと・・・
というのがブリュッセル民としての最悪の想像。まあ実際問題この期におよんで核攻撃の命令なんぞ出そうもんならクーデターだろうけど。
妻は週末もほぼ24時間体制でこの情勢に対応しており、顔は青ざめ髪振り乱しストレス食いで体重5キロ増えなんてことはないが疲労の色が濃い。
国際社会の一員としてウクライナを全力で支えるお仕事なんだから、名誉に思っていいと思うよ。
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