アミアンという地名、わたしはつい一昨日まで知らなかったのだが、えらく有難い教会で知られているのだそうで、それはホテルのすぐ前にあった。
山かよってくらいのカタマリ感をほこるこの建物は、ノートルダム大聖堂という。
パリのノートルダム大聖堂に並び立つほどの名建築で、たとえばパリ在住の日本人がわざわざアミアンの大聖堂を見学にくるほどなんだと。
パリのほうは2019年火災後の「保全作業」に2年半をついやし、ここへ来てようやく「崩壊の危機を脱した」ばかり。これから2024年の一般開放をめざして修復作業が始まるという。
そういう背景を意識しながらアミアンの大聖堂を見上げると、歴史遺産としての大切さがいっそう胸に迫ってくる。ような気もする。
遺産なんつっちゃいかんな、大聖堂は元気に活動しています。
「漫画家が描いた大聖堂」という展示が行われていた。
各国の漫画家さんが大聖堂から受けたインスピレーションをもとに製作したものがたり世界。
壮麗かつ巨大な聖堂の存在感がうまく表現されているものが多く、なかなか面白い。
説明文がフランス語しかなく(頑固やなあこいつら)詳しいことは不明だが(グーグル翻訳するのがめんどかった)、自分の漫画キャラを入れ込むなどして工夫をこらし、それぞれに美しく楽しい。
そのなかにひときわインパクトの強い作品があった。
大聖堂の壁面を埋め尽くす壮大な彫刻を、省略した線で描きながらも全体として実に精緻に描き出し、光の描写がまたすごい。
コンテストだったら優勝間違いなしのこの作品の作者は Shinichi Ishizuka となっており、ググったところ石塚真一さんと思われる。
このひとの作品にはジャズ奏者をめざす少年の物語 BLUE GIANT があり、今回の出展作にもジャズバンドらしきシルエットが描かれている。
わたしは漫画とは縁遠い人生を送ってきたこともあり石塚さんのことは存じ上げないが、この一枚によって示された力量は世界的にもかなりの水準と思われた。
日本の漫画家、すげえ。
それにしてもなぜマンガ展示なのか。
たとえばこの大聖堂には「四コマ漫画」みたいなストーリー性のある彫刻が多く、そこから出てきたアイデア?という出鱈目な想像を楽しんでみた。
ところでパリのノートルダム大聖堂は、ご存じのとおりセーヌ川の島に建てられており、俗世間から切り離された超然たる存在だが、こちらアミアンの大聖堂は足元に俗世間が密着している。
こういう感じが個人的にはけっこう好きで、アホみたいな角度から大聖堂のことを気に入った。
足元の俗世間にはなんとも可愛らしい家々が建ち並んでおり、そっちも気に入った。
それについてはあらためて。
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