ドライブ旅行はホテルで駐車料がかかったり、どんなにビールやワインが美味しそうでも運転中は飲めなかったりというデメリットに目をつぶれば、ペット連れで気楽に移動でき、そのときの気分でルートを決めたり足を停めたりというアドリブができて楽しい。
今回、前半戦のワインをめぐる冒険(笑)を終えたあとライン川を離れて東進し、ロマンティック街道の目玉であるローテンブルクを目指した。
ナビで経路検索したら、アウトバーンなど主要道路を走る最短ルートのほか、地方道路を多用する田舎ドライブルートが表示されたため、迷わずそっちへ向かう。ゆっくり道草できるからだ。
途中に何があるのか、なーんもない本気の田舎道なのか、情報ゼロ。
走ってみたらとりあえず・・・
なんもねえ。
畑とたまに見かける民家以外なんにもないけど、美しい。
美しいというのは、手入れのいい畑や畦道、清潔な家や納屋など、ドイツ人らしい真面目さでつくりあげた景色のこと。
気持ちよさげなところを見つけて停車。
空気うますぎ。
この地点からしばらく行ったところに、見渡すかぎりヒマワリという広大な畑があった。
花の盛りはとっくに終わり、みんなしょぼくれちゃって気の毒に・・・
いやちょと待てよ、これ花じゃなくてタネを採るためじゃね?
西洋人はヒマワリのタネをおやつとして好んで食べるが、どこかの農家がそれを育てなければそんな商品は流通しない。さしずめこの畑は・・・と妄想がはかどるのである。
地平線の向こうから、小さな村が姿をあらわす。
農家が20戸もあるような村であれば必ずといっていいほど教会があり、尖塔が村の重心をなしている。
商家や宿屋のある街に入ってくると、その可憐さに思わず声をあげる。かっわいいねえ〜。
こうした街むらは観光地図上ではまったく無名だが、それぞれがちゃんと絵葉書になるような景観をもっている。
ほんっとドイツ人は物持ちがいい。
それと花が好き。
あんなゴツゴツした言葉をしゃべり、知らないひとには滅多に笑顔を見せることのないドイツ人が、花に丹精をこめ、癒されている。そこにギャップ萌えを感じてしまうのだな。
ドイツの田舎道ドライブで気をつけるべきは、頭のネジが3本くらい飛んでいる飛ばし屋が多いこと。
一般道の制限速度が100キロという環境下でスピード感覚を磨いているせいか、わたしのような外来ドライバーが70キロで走っているとめっちゃイラつくらしく、すごい勢いで抜いていく。
それだけだったら「さようなら~」とお見送りするだけだし、見通しのいいところでは路肩に寄せてさっさと抜いていただくようにしているんだけど、こんな狭い道で・・・
対向車が100キロですっ飛んでくるのはちょっとアレだと思う。
まあそういうことに慣れつつ、事故らないよう工夫しつつ、そもそもは交通量の少ないドイツの田舎道ドライブを楽しむのであります。
この道、行く先は突き当り?ナビは直進つってるぞ?
な箇所をスピード落としながら進んでみたら・・・
ちゃんと通り抜けられるようになっていた。
門(?)を抜けて少し行ったところには、こんな建物が。
このトンネルの上の部屋で仕事してる/勉強してる/住んでるひとがいるのかと思うと、もうそれだけでこの小さな村の暮らしについていろいろ知りたくなってしまう。
そんな感じでいくつの街むらを通り過ぎ、大きめの街にさしかかったところでトイレ休憩な雰囲気に。
中心部と思われるあたりにクルマを停め、ペニーは散歩、妻が探索に出る。
やがて妻から電話があり、とある広場にいざなわれた。
ドイツの定番、街の中心にあるマルクト(市場)広場。
平日だというのに観光客が押しかけ、えらい活気。
多くのひとが電動アシスト自転車を借りて走り回っているらしい。
なるほど、ここは坂が多かったもんな・・・
となったところで地図を確かめたら、Weikersheim ヴァイカーズハイムという街で、なんとかいうお殿様の城を中心に街ができている。
そこそこ先を急いでいたので城の見学をパスするかわり、バラ園には入ってみた。
国王クラスがつくった堂々たる庭園と比べれば、県知事?市長?レベルの殿様のバラ園だから規模は知れている。
だけど気持ちが安らぐのは間違いないんだよね。
ヴェイカーズハイム、おそらく日本人むけのガイドブックには登場しないだろうが、それだからこそ完全なる彷徨気分にひたれるナイスなスポット。
これこそがドライブ旅行の醍醐味であります。
ところでこの地方では、道路脇に頻繁に登場する樹がある。
松じゃありませんぜ、広葉樹ですぜ。
それはリンゴ。
路傍にやたらにリンゴが植えられている。
なんで?
てか地面にぽたぽた落ちててもったいないんですけど・・・
という疑問はやがて解明されることになるのだが、それはまだ先の話。
200kmあまりをドライブしてきたわたしたちの前に、ぎゅっと固まった赤屋根の街が姿をあらわした。
目的地ローテンブルク。
40年前に訪ねたこの街にふたたび足を踏み入れたところ、若い時には気づかなかった衝撃の事実を知ることとなった。それについてはあらためて。
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