巨大なメダルはデザインが日本の10円玉ぽくて笑ってしまうのだが、ともかくこれを誇らしげにかざしているのはわたしの妻である。
メダル(型のチョコレート)の贈り主さんに「有難く頂戴しましたヨ!」と伝えるために撮影した写メである。
相手は古参のベルギー人スタッフ。先日アメリカのえらいひとがブリュッセルへ来たとき、あるチームの首領として大車輪で働いた妻へのお礼というかお褒めというかの気持ちが込められている。
補足しておくと、妻は加わったばかりの職場でいろんな仕組みや人間関係などがさっぱりわからん状態でタスクフォースの立ち上げと運営をまかされ、わたしだったらムリっすとお断りするような無理ゲーだったと思うが、彼女は歯を食いしばってやりとおした。
24時間シフトが数日続くカコクな業務。妻はチームに配属された大勢の現地スタッフが円滑に働けるよう細かい部分に注意をはらい、前向きな言葉をかけ、皆のやる気を引き出した。
事後、チームの仕事が「目覚ましかった」と認められ、妻はリーダーとして表彰ぽいことをされたのだが、同時にチームのメンバーからも「あなたの仕切りのおかげでとても仕事がしやすかった」というお褒めの言葉が多数寄せられた。
その翌日、出勤した妻のオフィスには古参スタッフのおばちゃんからの「メールで伝えたお礼の気持ちは儀礼的なものじゃなかったのよ。ほんとの気持ちよ」というメモとともにメダルが置いてあった。
なにが言いたいのかというと、そこまでして褒められた妻がエライという話ではなく(そりゃ実際エライけど)、このおばちゃんがほんとの気持ちを伝えるためにはらった労力はすごいと思った。
職場でさ、いいなと思うことがあってメールとかで「ありがとう」というのは簡単だけど、オフィスのコミュニケーションなんて、だいたいそれで終わっちゃうよね。
儀礼的な言葉がすすーっと行き交うだけで、今回の妻のケースもそういう感じだったと思う。
メダルの贈り主はそのことをよくわかっているからこそ、ほんとの気持ちを伝えるため、どこかのお店まで足を運んだのだろう。
伝えたつもりになることと、本気で伝えることのあいだにはどえらい差があって、その溝を越えるためにはけっこうな労力が必要らしい。
生来のコミュ障であるわたしには概念で理解できても実践がなかなか追いつかない世界だが、今回はとてもわかりやすい例で教えてもらったような気がする。
ちなみに贈り主さんは職場の裏の裏まで知り尽くした古参であり、キャリアの浅い準新人のようなオフィサーに尻尾を振る必要は皆無と思われる。
メダルはもう少し上の次元、たとえば互いの価値観の確認といったレベルのコミュニケーションだったのはないだろうか。
はぁ・・・高度やなあ。
ブログのランキングというのがあって、これをポチしていただくとたいへん励みになります。