そのバス停には、背中に SECURITY と書かれた屈強な男たちが立っており、やってきたバスが停車するなりどやどやと乗り込んでいった。
1~2分ほどして彼らは、ふたりの乗客をともなって降りてきた。
無賃乗車が摘発された瞬間だった。
ブリュッセルのバスやトラムは車掌がいないので、チケットなしでも乗ることはできるが、見つかるとかなりの額の罰金をとられる。
ICカード乗車券を持っていても、乗車時に読み取り機でスキャンしなければ無賃乗車になるのは当たり前。
罰金はけっこう高額で、最低でも107ユーロ(約1万4200円)、一定期間内に繰り返したりする悪質ケースでは金額がどんどん上がり、最高で408ユーロ(約5万4300円)が課される。
罰金がスゴイことは広く知られているはずなのに、ケチな真似をする客が後を絶たないというのは興味深い事実だ。
なかには摘発されて抵抗するやつがいるのだろう、SECURITY の兄さんたちは銃こそ持っていないように見えたが、手錠は携帯していた。タイホ権が付与されているんやろね。
彼らが罰金の手続きをしているあいだもバスは次々に到着する。
乗客のなかには、摘発風景を見て慌ててICカードを「ピッ」するひともいて、それぞれの人生土壇場劇場が繰り広げられていた。
なんか垢にまみれた話になってしまった。
バス停に面した公園は、2週間ほど前こんなふうだった。
先行きが楽しみだったので撮影しておき、通るたび気にしていたところ・・・
こんなふうになった。
派手さはなく、穏やかにいい気持ちにさせてくれる。
どアップで見るとサイズ感がバグるというか、小宇宙を感じさせるような花。
こんな美しい創造物のかたわらで、人間どもはケチった乗車賃の100倍もの罰金をとられて青い顔をしている。
すさまじいばかりのバランスの悪さが都市生活の特徴か。
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