夜の散歩から帰ってきたとき、アパートの玄関に先着した金髪のカップルがいた。
カレシは白いニットに白いパンツ、カノジョは白スカート。60年代のテニスコートに遊ぶ富裕層お坊ちゃんお嬢ちゃんのようないでたち。
そのお嬢ちゃんが驚くべき行動に出た。
玄関脇にある自動ドアのボタンにつかつかっと近づくなり バーン と蹴り上げたのだ。
ボタンはまあまあの高さにあるから、ちょっと膝を上げたくらいでは爪先は届かない。彼女は勢いよくびゅんと蹴り上げていた。
驚くと同時に、そうだったのか!と合点がいった。
わたしたちがこれまで暮らしてきた7軒のアパートでは、自動ドアのボタンが壊れていることが多く、接触不良のボタンがぐらぐらしているのを見ながらいつも不思議に思っていた。
それがまあこういうことだったわけだ。
日本のモノサシではかれば、アメリカにはお行儀のよくない人が多く、そこでモノ投げるか、そこで足使うかと驚くことがしょっちゅう(もう慣れたけど)。
ただ、スカート姿の若い女性がボタンを派手に蹴り上げるのを見るのはさすがに初めてだったので、夜10時、散歩しながらすでに半分眠りかけていた脳みそが一気に覚醒した。
あんた、どんな家庭で育ったんだ。
てか地球の生まれじゃねーだろ。
そう尋ねてみたくなるほどには驚いた。
ダイナミック(笑)で緑豊かで大好きなアメリカを離れる時が近づいてきた。
この国もたまに戻ってくるからポジティブな面を享受できるのかもしれない。
いきなり話は変わるが、コロナのワクチン接種を(バージニアは遅い遅いと言われながらも)4月上旬に受けることができ、つくづくアメリカにいてよかったと思う。
去年はコロナの脅威を馬鹿にするトランプ政権下で行政はガタガタだったが、それでも優秀な官僚たちが中心となり巨額のワクチン開発費用を世界のメーカーにばらまいたおかげで研究が急ピッチで進み、人類への投与が当初いわれていたよりも随分早く始まった。
これによりどれだけの命が救われたことか。
その意味で3周も4周も遅れて右往左往するばかりの日本は悲しい。
勝負どころで大胆に行動できない国の未来を、親戚知人の安全を願いつつ憂えている。
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