Pennyと地球あっちこっち

日米カップルの国際転勤生活 ~ ただいまラオス

その重量オカシクネ事件

 

ついにその日が来て、引越し業者さんがどやどやと乗り込んできた。

いきなり驚かされたのは、箱の内側をビニールシート敷きにしていたこと。 

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濡れや虫の侵入をブロックするのに最適な処置だが、アメリカの引越し屋はこんなことしてなかったぞ。

米国政府は山ほどある引越し業者のなかから一番よい仕事をする会社を選ぶのではなく、料金が一番安い会社を入札で選ぶから、サービスが劣悪なのは当然だが。

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もうひとつ、コストもあるかな。

バングラの人件費は果てしなく安く、そのぶん梱包資材に振り向ける余裕があるのかもしれない。

また、アメリカだとこの程度の引越しの作業員は3人だったりするが、今回は作業員4人に現場監督の計5人が来ていた。

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作業員はそろいの赤シャツ、監督だけが私服

現場監督殿は、あちこちに散らばった作業員のあいだを歩き回り、禁止アイテム(航空便はとくに厳しい)の有無をチェックする。

アヤシイ... と思うたびわたしたちを呼びつけ、

「これはなにか?」

「あー、これ肩のマッサージ機ね」

正確には高周波で血管拡張・血行促進するというもので、もみもみしてくれるわけじゃないが、ここでは話をカンタンにしておきたい。

「マッサージ?ということは電気式か?電池は入っているのか?」

「いやいやコンセントにつなぐやつだから電池無しね」

説明をまったく信じていないような顔で箱をタメツスガメツする監督。

そのうち納得してくれた様子だったが、彼にはなるべく正確な荷物リストをつくる責務があり、製品の描写にこだわり始める。

「ふーん、マッサージ機ねえ・・・」

世界的な常識ではマッサージ機にはそれにふさわしいサイズがあるところ、監督の目の前にある箱はあまりにも小さすぎる。

マッサージ機で納得できないなら高周波血管拡張リラックス装置なんてのどうよ。

という言葉が喉まで出かかったが、話をややこしくするだけなので黙っていた。

 

こういうことが何度も起きるのでちょっとめんどくさかったが、正確なリストづくりは、貨物の損害や紛失があった場合の保険金の請求に役立つから、大歓迎すべき。

ただしこの現場監督さん、別のところが驚くほどアバウトだった。

 

航空貨物には厳密な重量制限があるため、梱包してすぐに重量計に乗せたのだが、ふたりがかりでやっとこさ持ち上がるような箱だというのに監督さんたら、

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「ハイ30キロね」とかいってリストに記入し始める。

おいおいおいおいそりゃねーだろとたまたま近くにいた妻が気づいて声をかける。

「30キロといったらスーツケースでもすぐにそうなるほどの重さよね?」

ところが監督さん、「ですが量りがそういってますので」と妙に意固地になっている。

運賃を払うのはうちじゃなく、その意味では重い軽いを議論する立場にはないのだが、航空会社が量り直したときに違っていれば、最悪のばあい運送を拒否されてしまうおそれもある。

そんなことになってはプロとして恥ずかしいはずだが監督さん、部下の前で間違いを認めることに抵抗があったのか、しばし30キロ説にこだわっておられた。南アジア世界のオトコのメンツは雲より高く、こういうときちょっと面倒なんだよね。

ようやく心の氷を解かしていただいてやり直し。

重量計が信用ならないため、作業員のひとりが乗っかって体重チェックすると、かなり低く表示される。やっぱりね。

一度電源を落として再スタートしたら、「たぶんこれ」という体重が表示され、重量計は直ったことになった。

それで量りなおした結果がコレ。

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まあこんなもんでしょうという数字が出て、ひと安心。

 

この件、たまたま通りかかった妻が声かけしなかったらどうなっただろう。

バングラデシュ人の上下関係は、ある意味では日本人より厳しいところがあり、目下が目上の表情をうかがうところが強いから、今回作業員から疑義が提出されることはなかったかもしれない。

重量計の上に箱を乗せた作業員は、みずからの経験からして30キロは軽すぎると思ったにちがいないが、妻が介入したときですら黙って見ているだけだった。

言うべきことを言わず、ただ上に付き従うだけの集団はコワイと思った。

聞いてる?日本のみなさん。

 

この引越し作業、このあとトンデモ展開に突入するのだが、それについてはあらためて。 

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