ダッカ出発までにクルマを売らなくてはならんのだが、大きな問題があった。
当地では駐在員の減少にともないクルマ余りが起きているともっぱらのウワサで、それが事実なら大幅な値引きでもしないかぎり売れないかも・・・
いささか悲観的になり、弱気な値段設定にした。
職場のオンライン掲示板に広告を載せ、いいクルマであることをせいぜいアピール。
2008年製〇〇〇〇。
日本から輸入された4ドア、オートマチック。
室内広々、完璧にメンテされて清潔。
3列目シートを立てれば、最大7名乗車。
プライバシーと保安のため窓はすべて黒フィルム処理。
走行距離は7万キロを超えているが、信頼性絶大な日本車としては「まだまだ若い」。
ついでにいうなら、日本製であることに加え、日本からの輸入車であることが程度の良さをものがたるポイント。
通常であれば4000ドル近くでも売れると思うが、今回は即決をめざして2800ドルとした。
オマケもつけた。
「わが家の運転手さんを雇ってくれるなら300ドル引き!」
駐在員まわりで働くひとたちの多くが職を失っている今、うちの運転手Pさんの働き口をなんとか確保したかった。
そのために300ドルを負担する義理は本来ないが、ここはもうしょうがないっしょ。
Pさんは車内をいつもきれいに保ってくれるだけでなく、ダッカで一番かと思うほど安全運転だから、自信を持ってオススメできるってのもありで。
広告を出したらすぐに反応があった。
家政婦Nさんのときと同じく他国の外交官から連絡があり、すぐにクルマの検分に来てくれ、話がまとまった。
Pさんも雇うという。
Pさんは外国人相手のドライバーとしては英語が不得手で、それはわたしたちの9ヶ月間の留守のあいだに悪化したようで、互いに何を言っているのかワカラン状態におちいっていることが心配。
だが某国外交官殿は、勤め先のバングラデシュ人通訳を立ててPさんと雇用条件を詰めるといっており、その後は辛抱強くPさんに対応してくれる雰囲気だった。
「どうもありがとう。それじゃドライバーの雇用コミってことで300ドル引くわね」
そう妻が言ったところ、相手からは意外な答えが返ってきた。
「ああその件は結構よ。どこかに寄付でもしてくださればいいわ」
というわけでディスカウントは拒否されちゃった。
徳の高い方なのか、それとも2800ドルの値段が十分すぎるほど安かったのか。
ちなみにクルマ余りが叫ばれるご時勢にもかかわらず、6人もの希望者から連絡があった。値づけ完全に失敗だったかぁ?
宙に浮いた300ドル、どうしようかね。
知らん顔して財布に戻してもいいと思うが、また動物保護系の寄付かな。
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