日本滞在中に見たテレビ番組の内容に耳を疑った。
フェイクニュースとかではない。
高校生が何人も出てきてしゃべっているのだが、その子たちに訛(なま)りがまったくないことに驚いたのだ。
その高校は何をかくそうわたしの郷里にあり、生徒たちの普段の会話は例えば
「あたしそんなん全然知らんかったー」
であるのに違いないのに、テレビカメラの前では
「わたし、そんなこと全然知らなかったんです」
と、東京の高校生とまったく同じ話し方がスラスラ出てくるのである。
たまたまその子が標準語を話す転校生なのかと思ったら、ほかの子もみんな同じで、どうやらこの会話能力は共通のものらしい。
わたしが高校生だったころ、標準語を話せる子は皆無だったと思うのだが、これはいったいどうしたことか。
ただし標準語をあやつるのは女子だけで、男子は普通に訛っていた。
テレビやネットを介して日常的に接している標準語を、すんなりコピーできるのが女の子、不得意なのが男の子ということか。
一般に女性のコミュニケーション能力は男性より優れているといわれるが、こういうのもその顕れのひとつではないか。
男子生徒は、自分たちがカメラの前で「うまくしゃべれない」ことを意識しているのだろう、ぜんたいに言葉少なで、存在感が希薄。
一方で女子生徒たちは、自分の考えや気持ちをハキハキと表現して、とても元気な感じだった。
ちなみにかれらが取り組んでいるのは農業系の実習で、そこでの実際の活躍ぶりに男女の差はないのだろうが、番組上は「なまってないガールズ」大活躍というイメージになり、それはそれですごく面白かった。
自分が上京したばかりのころを思い出す。
同郷のダチとつるんで遊びにいくことが多かったが、ふたりきりのときは普通にしゃべりまくるものの、電車やバスなどではふたりとも極端に寡黙になった。方言しかしゃべれず、それを誰にも聞かれたくなかったからだ。
訛りが抜け、標準語が身に着いたと思えるようにるまで、どれほどかかったろう。2年か、あるいは3年か。いやもっとか。
そういえば周囲の女学生には地方出身者もけっこういたが、宮崎県都城市出身で語尾に「デスネ」がつきやすい子のほかには、ふるさとアクセントを感じさせる子はいなかったと思う。
彼女らもまた、わたしには想像もつかない能力で訛りを隠していたのか。
オンナはコワイ(笑)
なお、冒頭の方言は広島弁を例にとったが、わたしの郷里は広島県ではない。
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