Pennyと地球あっちこっち

日米カップルの国際転勤生活~ただ今アメリカにコロナ退避中

「壊れゆくアメリカ」

世界的なチェロ演奏者ヨー・ヨー・マからメールが来た。

 

I’ve lived my life at the borders. Between cultures. Between disciplines. Between musics. Between generations.

わたしはこれまで、複数の文化・教育・音楽・世代の境界で生きていました。

And throughout my life, I’ve learned that in culture, we build bridges, not walls. We believe that we are better together than alone. I am worried that we’ve lost sight of that belief in America.

この人生を通じてわたしは、ひととひとの間に橋を架けることを学びました。壁をつくることではありません。人間はひとりではなく共に生きるほうが良いと信じています。そうした信念がアメリカでは失われてしまったのではないでしょうか。

 

差別主義者であることを隠そうともしない大統領が全米にまき散らす憎悪に異議をとなえる内容であり、だからバイデンを応援しようというメールだった。

わたしはオバマ大統領が2012年に再選めざして展開していた草の根選挙の実態を知るため、民主党系のメーリングリストに登録したのだが、それいらい選挙が近づくたびこうしたメールが山ほど送られてくる。

だがヨー・ヨー・マは初めてだったので、少し驚いた。

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Yo-Yo Ma

ヨー・ヨー・マはチェロの名手としてクラシック界に君臨するだけでなく、タンゴをはじめとする世界中のミュージシャンとの共演により新しい扉を次々に開ける音楽界の巨人である。

ただエライというだけでなく、彼の特質すべき美点は人格がすぐれていること。

ヨー・ヨー・マさん、ほんとに優しくていいひとなのよ。

残念ながらわたしは直に接する機会に恵まれていないが、彼の特別番組の制作にたすさわったスタッフは、「気さくで偉ぶらず、いつも周囲に気遣ってくれた」と絶賛していた。

コロナ禍の拡大の初期、彼は独奏やリモート合奏によって世界のひとびとを元気づける活動を始めた。

下記の動画が公開されたころ、ダッカにいたわたしたちは、妻がコロナを疑うべき症状を発し、職場を通じて検査を依頼しようにも無能な上司が邪魔になって往生こいていた。どん底の気分を、このひとの温かい音色が救ってくれた。

 

彼の来歴からしておそらく民主党支持者だろうとは想像していたが、わたしの知るかぎり目立った政治的な動きはしてこなかったので、このたびのバイデン応援メールには驚かされた。

トランプ再選を阻止したいという気持ちがよほど強いのだろう。

ヨー・ヨー・マさんは、わたしたちに「茶の間でオーエンしてね」といっているわけではなく選挙資金を募っているので、多文化の共生をアメリカで保ちたいと考えているひとは検討されてはいかがだろう。

 

今から半世紀前、アメリカ人は差別の存在を公式に認め、差別と闘う決意をし、それから長い時間をかけて差別をなくす努力をしてきた。

差別は人間の本性だし、社会システムの深いところに埋め込まれてしまっているから、撲滅どころか半分に減らすのだって容易なことではない。

それでもなんとかここまでやってきたというのに、差別主義者の大統領の登場とともに、アメリカは苦労して得てきたものを捨て去ろうとしているように見える。

そのことへの反作用として、全米のマイノリティーが感情を爆発させている。

暴力的なデモや略奪行為は決して容認できないが、他者からは見えにくい差別の積み重ねと、それを容認するかのような大統領の姿勢を見て自暴自棄になる気持ちは理解する必要があると思う。

トランプ就任からたった3年半でここまで壊れたアメリカが、トランプ再選のあかつきにはどういうことになるか、小学生でもわかるだろう。半世紀かけて積み上げてきたものも、壊すのは一瞬だ。

差別はイカンと単に倫理的な観点からいっているのではなく、共生がアメリカの発展の原動力だから心配している。

わたしたちは「壊れゆくアメリカ」を指をくわえて見守るのか、それとも何かできるのか。事態は正念場を迎えている。

 

【注意】わたしの場合、50ドルを献上するつもりで支払い手続きを始めたが、今回の募金サイトでは米国のパスポート番号が必要になっており、残念ながら寄付できなかった。以前はそんなものは必要なかったのに、法律が変わったのだろうか。

 

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