ある日の午後、バージニア州のとある住宅地のとある家の前に、一台の超高級車が停車した。
世界のセレブが競って購入しているというスバル・フォレスター。そこからから降り立ったのはチビ犬を連れた短足な東洋人と、その妻とおぼしき女だった。女も東洋系だが半分ほど白人の血が入っているようで、夫より14センチ背が低いくせに脚の長さは同じ。その点について夫はちょっと悔しい思いをしている様子だ。
そんな具合で義妹宅に着いたわたしたちは、家には入らず庭で2メートルの距離をとったまま歓談した。
アメリカに退避してきてから3ヶ月半、ここへきてようやく短時間なら訪ねてもいいかなという感じになってきた。
もちろんペニーにとってそんなことはどうでもよく、思わぬ成り行きで連れこまれた庭がひどく気に入った様子。
以前この家には2匹のパグがいたが、老齢のため去年相次いでこの世を去った。
庭をひとり占めできることになったペニーのために、義妹の息子ちゃんがボールを出してきてくれた。
「この子は持って帰ってこないんだよね、ごめんねえ」
そう説明して息子ちゃんの期待を裏切らないようにしたが、案に相違してペニーさん、まあまあ持ち帰ってくるではないか。
【音が出ます】
ボール遊びの訓練はまだ始めていないけど、これだったら期待がもてるかな。
楽しく遊ばせてもらったせいか、最初はガルルルーしてたペニーが態度を変えた。
このようにしてペニーにとって楽しい午後になった一方、わたしたちはある事実を知って驚いた。
この庭にはチップマンクの一親子が住んでいるというのだが・・・
かれらの巣がどこにあるのかといえば・・・
地下だった。
リスの巣は樹上だと思い込んでいたが、少なくともここに住むチップマンクは芝生に小さな穴を掘り、4匹の子を育てているという。
チビ助たち、たまに出てくるんだって。
かわゆくてたまらんやろなあ・・・
これこそが人間の住むべき環境だと強く思う瞬間でありますね。
土や雨のにおいを感じ、幼いいのちが育つのを見守るのが人間の暮らしだとすれば、大気汚染世界最悪レベルの街で日当たりの悪い集合住宅の窓を閉めきって暮らす人生なんてどうかという話はある。
話はあるが、今はまだいい。
世界を流浪する暮らしが死ぬまで続くわけでも(たぶん)なし、そのうち気が変わってバージニアの奥地の奥地、義妹んちの3分の1の値段で家が買えるような田舎にひっこんで蜜蜂を飼うようになるかもしれない。
なんてモーソーがはかどる午後であった。
なお、「土や草、雨のにおいを感じ」られる家はまことに結構だったが、妻は蚊にぶっすぶすに刺されて真っ赤に腫れあがっていた。
アレルギーあるみたいで、いつもひどい。
チップマンクありで蚊なしの庭があったら最高やね。
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